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旅を終えて 辻信一~2026.02北部タイツアー

9 分前
読了時間: 5分

ナマケモノ俱楽部では、「リジェネラティブ&ローカル・ツアーin 北部タイ」で、2026年2月18日~23日に、カレン民族のコミュニティを訪れました。自給的な暮らしを営む人びとの日常を体験させていただきながら、アグロフォレストリーについて、循環型伝統農業について、先住民族の若い世代がとりくむローカルビジネスについて、五感で学ぶフィールドワークの旅です。


頭だけでなく、身体、心を「今、ここ」に置き、現地の自然や人びとと共に時間を過ごしながら得た、かけがえのない学び遊びの時間を、ツアーに参加したメンバーたちが分担して報告レポートにまとめました。連載形式で紹介してきました。(2026年2月のツアーレポート連載一覧はこちらから)


今回の旅の案内人でコーディネイターの辻信一さんが、なぜ今、「リジェネラティブ&ローカル」が大事なのか。そして、なぜそのヒントを探しに行く旅先がこの北部タイなのか、旅の最終日に参加者のそれぞれの旅の感想の後に語ってくださいました。そのテープおこしをみなさんとシェアします。


>>11月4日から10日に、収穫時期の北部タイを訪れるリジェネラティブ&ローカル・ツアーを再興します。まだ数名の参加者を受入可能です!ぜひこの機会に一緒にでかけませんか?詳しくはこちら。


being(いる)な人たちに出会う旅


ぼくの本の中に、『「しないこと」リストのすすめ』っていうのがあるんです。信じらんないでしょう? ツアーをやるときは、なるべくのんびりできるようにって、オシと2人で計画を始めるんだけど、どんどんあれもこれもって、結局、することばっかりになっちゃう・・・。(苦笑)


でも、このツアーで「すること」っていうのは、「する」に対して「いる」、つまり、生きているっていうことがしっかりとできている人たちに出会っていくことなんです。そして、自然とも出会い直していくことなんです。自然というのは、別に何もしてないですよね。植物は植物でいるだけ。そういうものに出会っていく旅だったわけです。そのためには、いろんなことをぼくらもしなくちゃいけない。いろんなところに出かけていかなくちゃいけない。言い訳も交じっていますけれども。


今回は、ナマケモノ倶楽部を一緒にやってきた中村隆市さんと、久しぶりにこういう場所に一緒に来られたことが感無量でした。ナマケモノ倶楽部というのはこんな風にやってきたんです。何の役に立つかわかんないんだけど、 2人でぶらぶら歩きながら ダジャレとか冗談みたいなことを言い合ってるうちに、いろんなことができていく。いまだにぼくもナマケモノ俱楽部ってなんだかよくわかってないんだけど。




ローカルな経済を支えてきた自然と文化


ぼくが最近使ってる言葉に「ローカリゼーション」と「リジェネレーション」という2つがあります。ローカリゼーションというのは、グローバリゼーションの反対にあたるものです。今、世界中がグローバル化という船に乗っかっちゃって、その結果、恐ろしい様々なことが起こっている。その最大のものは多分、気候変動です。気候変動がこんなに急速に悪化したのは、グローバル経済に原因があるのは間違いないと思います。その外にも、ファシズムがまた勃興したり、人々がどんどん精神的に病んでいったり、そういう時代がこんなに急にやってきたのも、グローバル経済の結果だと思っています。


じゃあ、どうしたらいいのか。もともとあった場所、ベースに立ち戻ることです。どんな経済もローカルだったんです。そして、そのローカル経済を支えてきたのが自然の豊かさです。


じゃあ、その自然にどうやってつながっていったらいいか。それが「文化」という知恵です。この地球上のどんな場所でも、みんな自然界とどうやってお付き合いするのかを、何千年という時間をかけて編み出してきました。これを今ぼくらは「リジェネレーション」なんていうめんどくさい言葉でやっと再発見しつつあるわけです。つまり、ぼくら人間が主人公じゃない。自然界が全てを与えてくれることに気付くことです。人間の存在を継続するために、自然界とどうお付き合いしたらいいのかっていうのが、リジェネラティブな知恵です。



グローバル化によってみんな傷ついてる


今回の旅では、この2つ、ローカルへ、リジェネラティブへをテーマに、その見本を兼ね備えている場所を訪ねてきました。かつては日本にもいっぱいあったんです。一番いい例が里山という言葉で呼ばれているセットアップです。そういう里山の風景は、まさにリジェネラティブな知恵を体現していました。ところが、それがもうほとんど消えてしまっている。


これまで西洋は、ローカルからグローバルへ、リジェネラティブから人間中心主義へ、科学技術主義へと、全部もう一緒くたにやってきた。その中でぼくは、「人間っていうのがダメだった」っていう結論で終わるわけにはいかないと思っています。西洋が失敗したからって、それは人類の失敗じゃあない。アジアにまだちゃんと希望が残ってる。現に今、熱心にアジアから学ばなきゃいけないっていう西洋人がたくさんいます。そういう時代が来てるわけです。


それなのに、アジアの一員であるはずの日本人が、相変わらず西洋の方ばかり、科学技術の方ばかりを見て淡い希望を託している。一方で、ぼくらもある意味では、みんな傷ついてるわけだよね。近代化は全員にとってトラウマなんです。苦しんでない人はいないと思う。近代化によって「今の自分じゃ十分じゃないよ」って言われ続け、みんな自分を否定され続けてきたんだから。




若い世代が紡ぐ「懐かしい未来」という希望


ぼくの友人のヘレナ・ノーバーグ=ホッジという人が作った「懐かしい未来」という言葉があるけど、意外とね、未来は後ろにあるんですよ。前ばかり見ても、実は何にもなかったりする。そういう意味で、今回、ぼくたちが出会ったような人たちを訪ねる旅は、「懐かしい未来」を訪ねる旅だとも言える。つまり、ぼくら自身が失ってきたものを、そして彼らも失おうとしているものを、「これじゃあダメだ」って若い人たちが気付いて、それを取り戻すすごい動きが、今、展開されてる、その現場に出会う旅。


日本にも、コウジくんみたいに、彼らに似たような人がいるっていうのが、今回、ぼくもすごい発見でした。ぼくの世代はそういう若い世代とつながって、ぼくらにできることがあれば、ぜひやっていきたいという思いでいっぱいです。


ドイチャン・パペ村にて。「ゾウ山」をバックにゾウのポーズ。
ドイチャン・パペ村にて。「ゾウ山」をバックにゾウのポーズ。

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