ラダックで私たちが出会った”懐かしい未来”の今~ツアーレポート・その2
- ナマケモノ事務局

- 9 時間前
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2026年5月5日から7泊8日でNPOジュレー・ラダックとの共催で開催された、インド北部・ラダックでのスタディツアー(プログラム概要はこちら)。ヘレナ・ノーバーグ=ホッジさんが『懐かしい未来』で記録したラダックから50年が経ち、ますますインド、そして世界からのグローバル化の波が押し寄せつつあるラダック。
その中で、私たちがツアーで訪れたのは農村部。ラダックの人々の伝統的な文化が何によって紡がれているかを、ホームステイやインタビューからそれぞれが感じ、学ばせていただきました。

Shaman blessing:シャーマン訪問
ツアー2日目の午前は、レーから7キロに位置するチョクラムサル村で暮らすシャーマンのお宅にお邪魔しました。住宅地に並ぶお宅のゲートをくぐると、人々の列が見えます。11時の開始にあわせて地元の方が何人も中庭で待っていました。
スカルマさんが扉の前でにこにこしながら座っているおばあさんを見つけ、声をかけます。「知り合いかな?」と思っていたら、なんと!そのおばあさんがトランス前のシャーマンご本人でした。健康的に日焼けしたお顔で、にこにこと私たちグループを迎えてくれます。
時間になると、待っていたみなを自宅の居間に招き入れます。半分カーテンが引かれた薄暗い部屋に20人ほどがぎゅうぎゅうと座ります。赤ちゃんを抱いたお母さんから、「連れられてシャーマンを見に来た」という男の子、おじいさん・おばあさんまでまさに老若男女です。
驚いたのは、ラダック人以外のイスラム系の方々もきていることでした。また私たちは9名という大所帯だったのですが、別段注意を向けられることもなく、同じシャーマンの導きを求める人としてその場になじんでいることも、ちょっと不思議な気分でした。

しばらくして、シャーマンのおばあさんは、さっきとはちょっと違う雰囲気をまとって部屋に入ってきました。私たちは目に入らないような集中ぶりで小さな声で何かを唱えながら儀式をはじめ、太鼓を打ち鳴らしながら衣装を一つずつ纏っていきます。10分ほどでトランス状態になりました。先ほどのおばあさんの面影はまったくなく、張りのある声と身のこなしに、集まった人々の緊張もぐっと高まっていきます。
前のほうに座った人から、シャーマンの前に一人ひとり進み出て、一対一で向き合い、シャーマンに心配事や悩みを打ち明けます。シャーマンは少し身体を触ったり、そばにあるカゴから手に取った豆を床に投げたりして、短く助言の言葉をかけているように見えます。狭い部屋なのでラダック語が分かる人には内容は筒抜けです。「この方はこう言ってます」「シャーマンがこう助言しました」とスカルマさんが日本語に訳してくれたものをメモしました。
・お腹が痛い男性。→タラ菩薩のお経を受けてください。アムチに診てもらってください。
・インドに行ったら物を失くした。→家にあるからよく探してください。
・61歳のイスラム系の女性。足が痛い。→今は厄年です。土の中の神様が悪さをしています。仏教のお坊さんを呼んでお祓いを受けてください。自分の家に呼べないならシェイ村のお寺にいって、厄払いをしてください。お祓いをした日は、肉、ニンニク、玉ねぎ、卵は食べないこと。その日はバターティーも飲まないで。
・ギャ村から来ました。赤ちゃんが夜泣きをする。→あとで治療しましょう。
・歩いているときに倒れました。65歳→バチが当たったのです。
・下痢気味で食欲がない女性→家に青いタルチョをつけてください。
・頭が痛い61歳。西洋の薬は飲まず、アムチにもらった薬を服用。→お祈りをしてください。油や甘いお菓子を控えて、アムチの出した薬を続けて飲んでください。
・夜眠れないおばあさん→若い人の心霊が憑りついてます。あとで治療しましょう。
私たちも数名が診てもらいました。高山病や眠りが浅いなどを打ち明けてました。シャーマンからの助言は本人のみが聴いたので、メモはありません。


そのあと、今度は治療行為に入ります。これは患者の身体に入り込んでいる悪い魂をシャーマンが吸い取り、ペッと吐き出すという視覚的なパフォーマンスがメインですが、吸い取ったものが黒かったり、ドロドロしていたりするのを間近で見ると、かなり迫力があります。
施術してもらった日本人メンバーの話によると、けっこう強い力で患部を押されたり、金属のストローで吸い取られた、ということです。同じ部屋の隅にカゴが無造作に置かれていて、人々は、自分の治療が終わるとそのカゴにお金をいれて部屋を退出していきました。
最後にみなでお清めのお祓いを受け、シャーマンのおばあさんは徐々に身に纏った衣装をほどきながらトランスも解除し、最初に挨拶したときの普段着のおばあさんに戻っていきました。
シャーマンのおばあさんは、60代くらいに見えましたが、私たちのグループも含め、約1時間もの間、トランス状態でほぼ全員を一対一で心配事を聞き、神の言葉を伝え、さらに治療行為もしてくださいました。
小さな部屋に充満した独特の熱気から外に出ると、明るい太陽の陽ざしと、ラダックののんびりとした村の時間のギャップにくらくらします。後に見学するアムチ(伝統治療医)とも異なる、おみくじのような神がかった世界でしたが、シャーマンが現代もラダックの人々にとっては精神的な拠り所であることがよくわかる体験でした。







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