チェンマイ市内にて、スペシャルティコーヒーツアーの幕開け~2026.02北部タイツアーレポート・4日目part2
- ナマケモノ事務局

- 14 分前
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ナマケモノ俱楽部では、「リジェネラティブ&ローカル・ツアーin 北部タイ」で、2026年2月18日~23日に、カレン民族のコミュニティを訪れました。自給的な暮らしを営む人びとの日常を体験させていただきながら、アグロフォレストリーについて、循環型伝統農業について、先住民族の若い世代がとりくむローカルビジネスについて、五感で学ぶフィールドワークの旅です。
頭だけでなく、身体、心を「今、ここ」に置き、現地の自然や人びとと共に時間を過ごしながら得た、かけがえのない学び遊びの時間を、ツアーに参加したメンバーたちが分担して報告レポートにまとめました。ハイライトを連載形式で紹介していきます。
Day4・その3:スペシャルティコーヒーツアー幕開け
チェンマイ市内のホテルにチェックインしたあと、夕食を近くのチェンマイ大学に併設されているカフェ「AGRI CHAPTER: ART FARMER」で食べました。メニューは、久しぶりのパスタやこだわりの肉料理などのイタリアン。都会に戻って来た・・という実感と、「なぜツアーでこのレストランを夕食にを選んだの?」という疑問の声がメンバーからちらほら。
そのとき、食事を終え店内を見ていた辻さんが「あ、このコーヒーパッケージ、見たことある!」と辻さん。そして、私たちが食事を終えたのを見計らって、オーナーのTAAMさんがコーヒーのメニューをもって挨拶にきてくださいました。実はこれが翌日のチェンマイカフェ巡りの幕開けとなるスペシャルティコーヒーでした。
インタビュー:AGRI CHAPTER: ART FARMERにて
2026年2月21日夜、AGRI CHAPTER: ART FARMER(チェンマイ大学農学部隣接のカフェ)
お話:TAAMさん(英語) 通訳:辻信一(英語→日本語)
文字おこし:花田みゆき
左)カフェ外観。チェンマイ大学農学部に隣接
右)オーナーのTAAMさん
TAAM:皆さんがここに来てくださって、本当にありがたいです。タイへようこそとも言いたい。私は15年間、コーヒーに関わっています。最初にコーヒー農園を訪ねた15年前、それが一つの運命だったと、今になって思います。
毎年新年に父のモン族の友人がプレゼントをくれていました。たとえばはちみつだとか果物だとか。チェンライ県のもっと奥の山に我が家の農園があって、ちょうどオレンジからコーヒーに転換しているということでした。
辻:ちょっとこれ複雑なんだけれど、彼のお父さんはすごい有名な人で、中国で、共産党と国民党が割れたでしょ。で、台湾に逃げたよね。それでこっちに逃げてきたグループのリーダーで、共産党系とぶつかっていると。それも含めてトラブルが多いので、タイの政府としては、ハイランダー、山岳民族はめんどくさいから、下へおろそうという移住政策をとっているんです。
お父さんが有力者として、こっちに土地を確保して、そこへ同胞をおろしてくると、その見返りとして、タイ政府はお父さんに山の土地を渡していた。でも、それは水源地帯だから所有することはできない。別に紙の証明があったわけじゃない。
TAAM:ですから、ちょうどオレンジからコーヒーに転換してるんだよと言われても、私は行ったこともないので、何の話をしているのかわからなかったんです。それで、父から受け継ぐことになった土地に、15年前、初めて足を踏み入れたわけです。
一言で言うと、感動しました。コーヒーを飲んではいても、コーヒーチェリーを見たのは初めてで、こういうものなんだと。そして、森の中に育つというコーヒーに感動しました。どうやったらいいのか全然わからないまま、農民に教えられて、コーヒーをそこで収穫したりしました。
コーヒーの小枝を引っ張ってザーッと実を全部とるのは間違いだということはすぐにわかりました。正しいのは、一粒一粒とっていくこと、そうしないと全体を破壊させてしまうと。一粒一粒とりながら、1キロを収穫するのは大変なんですね。なのに、その1キロのコーヒーチェリーは13バーツで売買されると聞いて、そんなに安くてこの人たちはどうやってやっていけるんだろう?、どうやったらこの農民たちの暮らしを向上させることができるんだろう?と思いました。
当時は、選別とか、グレードによって分けるという感覚がなくて、全部一緒くたに収穫しちゃう時代でした。当時は「スペシャルティコーヒー」という概念もなかったんです。だから、コーヒーの価格も非常に低い。その頃は1カップが80バーツでした。それで、だんだんその仕組みというか、いろんなことが自分の中で疑問として沸いてきたのです。
突然、自分の土地が山にあらわれて、そこに農民たちが働いていて、どうやってこの人たちの暮らしをよくしていくのか?ネットで、Googleとかを使っていろいろ調べました。そこで「スペシャルティコーヒー」という言葉に出会いました。なんとスペシャルティコーヒーだけ、すごく値段が高いのです。じゃあ、これをやってみようと、私のコーヒー・ジャーニーがはじまりました。
そうやって始めたとはいえ、タイのコーヒー市場の99%は、普通の安い、出回っているコーヒーだけです。仮にスペシャルティコーヒーのいいやつをつくったとしても、自分のマーケットがないから仲買人にただ売るしかありません。いいコーヒーを作っても、よけいにお金がもらえるわけではないのです。
それでタイの外に客を見つけようと、サンプルを10個作って、世界のいろんなところに送りました。そのうちの2つが返事をくれました。その返事というのが「え、タイにコーヒーがあるんだ!」というものでした。コーヒーのシーズンは短いです。翌シーズまで待ってなど、こんなことをぐずぐずしているうちに、農民たちが食べていけなくなったら、それでおしまいだという焦りがありました。
そんなとき、妹がドイツにいくという運命的な出来事が重なりました。妹は、ジュッセンドルフのコーヒー屋に行きました。バリスタが出てきて、お客さんである妹にコーヒーの味がどうだったかと声をかけました。妹は「私はコーヒーを頼まなかったから、私の兄に聞いたら?」と返しました。でもそのテーブルに座っていたのは妹だけです。
「お前の兄はどこにいるんだ?」と聞いたバリスタに、妹は「チェンマイのコーヒー農園にいる」と答えました。バリスタはとてもびっくりしたそうです。
「どこだ、それは?」12年前には、タイのコーヒーというのは、世界に存在しなかったんです。本をみても、タイのコーヒーの話題は出てきません。この妹のやりとりを、そのバリスタがオーナーに話しました。それで、オーナーがチェンマイにやって来た。だから、私は今ここにいるんです。
3年間で、これ以上は続けられないという、ぎりぎりのところまで来ていた。そこにドイツのバリスタとの出会いがあった。運命とはそういうことです。
辻:明日会うアカアマの話とも重なりますね。彼も同じようなプロセスです。だいたい同じ時期、15年ぐらい前にコーヒービジネスに着手した。

TAAM:後でわかったことですが、私が7歳の時の写真を見たら、後ろにコーヒーの木が写っていたんです。一緒にいるのはうちの農民です。リスとか、モンとか、アカ族は、だいたい中国から来た新しく来た人たちです。そしてカレンもいる。
辻:モン族というのは、非常に破壊的な、いちごとかね、めちゃくちゃ農薬を使う、すごいアグレッシブな人たち。カレン族は彼らの近代的な農業のやり方に困ってます。
TAAM:彼らはお金が欲しいのです。いいことをして金を儲けるコーヒーのビジネスがわかったら、それに従事するはずです。私にとって大事なのは、コーヒーよりも一緒に働く人々です。(ipadをみせながら)これはドイツで今、売られている私のコーヒーの写真です。
辻:ジュッセンドルフの店だね。妹さんがたまたま座っていた、という。
TAAM:彼が私の最初の顧客です。その辺りから急激にタイのコーヒーが世界でも注目されるようになってきました。それで、私もバリスタという修行でオーストラリアに行きました。タイ人がバリスタをやる時代になってきた。お金を稼いでからチェンマイに戻ってきて、コーヒーのいろんな種類とかいろんなやり方とかも学んでタイに持ち帰りました。
たった12年の間にものすごい劇的な変化が起こっています。今やチェンマイはコーヒーの都みたいになっています。チェンマイだけではありません、今やタイ中がコーヒーでリードしています。イタリアのスペシャルティ・コーヒー・アソシエイションともつながっていて、タイにもスペシャルティコーヒーの支部があります。日本にもあると来ました。ロースター・チャンピオンシップというエキシビションでは、私が審判の一人をつとめます。私は、イタリアの大会に参加した最初のタイ人なのです。みなさんが今飲んでいるのは、私が焙煎したコーヒーです。
辻:さっき聞いたんだけれど、この店舗は、まだ3、4ケ月しかたっていない店なんだって。
TAAM:ここはレストランとして作ったんですけれど、すぐ隣がチェンマイ大学の農学部です。チェンマイ大学との連携でここを借りています。将来的には、農学部とのコラボもしていきたいです。農学部でミルクを作ればここでヨーグルトも出せるとか、そういうことも考えています。
私たちの本店はコーヒー専門店です。本当のシリアスがコーヒーが飲みたかったら、ぜひ町にある「アートファーマー」というカフェに来てください。(翌日午前、ツアー有志で訪問しました)
2杯目(水色のパッケージ)をハンドドリップで抽出するTAAMさん
質疑応答
馬場:なぜアートとファーマーをくっつけたんですか?
TAAM:アートファーマっていう有名なトランぺッターにちなんでいます。
辻:ぼくも大好きなアーティストです。
TAAM:カフェをはじめるときに、共同経営者とどういう名前にしようかと話しあいました。10個から12個ぐらい案を出して、どれがいいかなあと。私は音楽が好きでLPをコレクトしているんです。アートファーマーのレコードも持ってました。そのことがひとつ。
他の理由は、共同経営者がアーティストで、私がファーマーだから。ユニセックス、ジェンダーなしの名前。そして簡単な英語。パートナーとして一緒にやっていけるように、ばらばらにならないように、いろんなこと一緒にやるという意味でアートファーマーという名前にしました。
治子:感想ですが、パッケージがかわいいです。
辻:かわいいよね。オシの家に行っときに、すごいおしゃれなコーヒーが置いてあって、パッケージをみたら「え、アートファーマー?」ってなった。僕はトランぺッターが大好きで、アートファーマーはとてもきれいな音を出すトランぺッターなの。で、そのアートファーマーのコーヒーをオシが淹れてくれたらすっごいおいしくて、さらに驚いた。
TAAM:ここが2店舗目です。本店はアートファーマーとしか書いてないけれど、ここは農学部との関係もあるので、アグリというのをくっつけて、アグリチャプターという名前にした。アグリコーヒーじゃつまんないし、二人のコラボというのを表すためにもアグリチャプターにしました。
中村:今の話を聴いてすごくわかったけれど、かなりすばらしい。でもこの店では、まだそのコーヒーのこだわりを表現するまでの体制にきていないようにも感じました。だから、本店を訪ねるのがすごいたのしみです。
TAAM:ここで提供しているフードメニューは、どうでもいい食べ物ではありません。自分たちのこだわりとして、農学部に隣接するのだから、いいものをだしたい。肉も中間業者を入れないで、直接、と殺場から卸してくる食べ物をだしています。ドレッシングとかソースも全部自分たちで作っています。買ってきたものを出さないというポリシーです。
辻:ケーキ類も奥さんが焼いているんだって。
TAAM:2番目の姉は、日立から奨学金もらって、金沢大学へ行きました。タイではバンブーにつく虫を食べるのですが、その研究者として博士号をとり、現在チェンマイ大学農学部で教えています。
辻:芋虫かなぁ。すごいおいしんだって。そういうつながりもあるんだね。
TAAM:姉は48歳です。私はオシと同じ40歳です。コーヒー生産者のところへ行って、いろいろ指導もしています。特に2番目に飲んでもらったコーヒーは、まだちょっと技術が足りなくて、今、指導しているところです。
辻:オシもそこへいったことあるんだって。ぼくは一杯目のほうが好きだったな。
TAAM:そういうふうにして生産者を支えて、いいコーヒーを作っていかないと、コーンの単一栽培にやられてしまいます。つまり、いいコーヒーを作らないと売れないし、売れないならトウモロコシに転換しようと大企業がどんどん攻めてくる。そうならないよう、農民たちを支えなくちゃいけない。つまり、もっとお金を稼げるようにしてあげなくちゃいけない。1年間なんとか生きていけるようにしてあげないとなりません。
一般のコーヒーで売るだけでは生きていけないので、4つ、5つの村を指導して、スペシャルティコーヒーという付加価値をつけれるようにしているところです
>>スペシャルティコーヒー専門「ART FARMER CAFE」https://www.instagram.com/artfarmercafe/
>>チェンマイ大学農学部隣接のレストラン「AGRICHAPTER: ART FARMER」





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