田植え期のみずみずしい田んぼに「裸足」で入ったことはありますか?
5月21日(土)ナマケモノ有志とともに参加した田植えで、サティシュ・クマールの本『エレガント・シンプリシティ』に書かれている次の一文を体感した。
「私たちのからだは土から来て、そして土へと還る。土は命の源だ。ほんの七、八センチメートルの表土があらゆる生命を支えている。土がなければ命もない。もし私たちが土を守り、大切にすれば、すべては放っておいてもうまくいく。」
土を感じてみたくて、はじめて裸足で田んぼに入ってみた。
田んぼの土は、冷んやりとしたやわらかい泥の状態で、足裏がどんどん沈んでいく。苗を植える歩を進めていくと、泳ぎまわっているおたまじゃくしが足の甲にふれた。ぬるっとした感覚がくすぐったい。
次第に、まるで田んぼを構成する要素が身体に浸透していき、塞がれていた体中の細胞たちが開き出したような感覚がひろがった。身体の中に滞留していた毒素が流れ出し、まさしく「土へと還る」ような感覚だった。
裸足で土を感じ、カエルの声を聞き、風に漂う木々の香りを味わいながら一面を植え終えた頃には、こころも体もすっきりしていた。進むべき道は、身体が教えてくれる。そして、シンプルに生きるということを、田んぼが気づかせてくれたひとときだった。
普段、コンクリートで覆われたマンションに住んでいる私は、靴を履いてアスファルトの地面を歩き、裸足で土にふれることは滅多にない。
今回の田植えで、ようやく「土は命の源」であり、土を「大切にすれば、すべては放っておいてもうまくいく」ことを感じることが出来た。
「ナマケモノ田んぼ2022、一緒に千葉鴨川の天水棚田に通いませんか?」というタイトルのメールをきっかけに、勇気を出して参加したからこそ、都会でフツーに暮らす私でも出来たこの経験。
土の感覚、風に漂う木々の香り、土の上を飛び回るカエルの声を聞きに、皆さんも一緒に千葉鴨川の天水棚田に通いませんか?と、思わず誘ってみたくなる素敵な場所に出会えてよかった。
草刈り、稲刈り、脱穀、収穫祭、しめ縄締めづくりと、定期的に通い続けることで、シンプルに生きることができそうな気がしている。
これからが楽しみだ。
古橋加奈子
思い描くのは、「生きとし生けるものが、生まれ持った美しさを曇らせることなく表現し続けられる世界」。忙しない日常の中でも「スロー」「GNH」「NVC」に注目しながら、暮らしの中で出来ることを模索している都内在住の会社員です。 ドラえもんのポケットから出てきそうな“ナマケモノめがね”をかけたら、ものごとの視点や解像度が変わって、実践できることが増えるかな?と、ヒト・モノ・コトを丁寧に見つめ、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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