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ドイチャン・パペ村の伝統的な暮らし~26.02北部タイツアーレポート・2日目

更新日:3 時間前

ナマケモノ俱楽部では、「リジェネラティブ&ローカル・ツアーin 北部タイ」で、2026年2月18日~23日に、カレン民族のコミュニティを訪れました。自給的な暮らしを営む人びとの日常を体験させていただきながら、アグロフォレストリーについて、循環型伝統農業について、先住民族の若い世代がとりくむローカルビジネスについて、五感で学ぶフィールドワークの旅です。


頭だけでなく、身体、心を「今、ここ」に置き、現地の自然や人びとと共に時間を過ごしながら得た、かけがえのない学び遊びの時間を、ツアーに参加したメンバーたちが分担して報告レポートにまとめました。ハイライトを連載形式で紹介していきます。

Day2:ドイチャン・パペ村の伝統的な暮らし

鈴木眞美


上段左)村のお母さんが焚き火で作った朝ごはん、右)放し飼いの雄鶏。目覚まし時計のごとく、時を告げる。

下段左)放牧で幸せそうな牛の親子、右)水牛は田んぼの片隅にいる。刈り残した稲の茎を食べて田んぼでうんち。



ドイチャン・パペ村の朝靄の中、時を告げる鶏に促されて起床。暗がりの中、火をおこして朝食の支度を始めるお母さんにコーヒーをご馳走になり、野草を摘むお母さんと散策する。動物たちもそれぞれに、穏やかに朝を迎えている。


朝食を済ませて、昨夜、キャンプファイヤーを行った広場へ集まる。朝のティータイム、コーヒーやハーブティをいただき、自家採取のハチミツを味見させてもらう。とっても爽やかな味!村の若い人たちもバイクサポートしてくれるために集合!お母さんたちも私たちのお弁当を持って同行。そして、犬たちも連れ立って山へ出発。


森へ出発前の全員集合
森へ出発前の全員集合

左)コーヒーの花のお茶

中央)コーヒーの蜂蜜

右)お母さんが持たせてくれたお弁当。ご飯の包み方が素敵


道の途中にあった樹齢40年のバニヤンツリーには、森を守るため行う「木の得度式」と呼ばれる木に法衣を表す黄色い布が巻きつけてあった。布を巻いた木は仏教の出家者に見立てられて聖なる存在になるそうだ。その儀式は、ジョニさんが率いた山岳民族の農民運動の象徴であった。信仰が今も生きているから、森は守られたのだろう。日本の御神木に巻かれたしめ縄と重なる。

 

道すがら、この土地で生まれ育ったディプヌが、木の枝をブーメランのように投げて果実を落としてくれた。みんなも挑戦してみるが、なかなか上手には投げられない。小さい頃からの森での関わりが、ディプヌらのこの森を守るという心につながるのか。


黄色い布をまとい、聖なる存在となったバニヤンツリー
黄色い布をまとい、聖なる存在となったバニヤンツリー

 


森と共に生きる「ク」という農業と防災の自治

 

カレンの人々が200年以上に渡って続けてきた「ク」という「ローテーション・ファーミング」という焼畑を案内してもらった。「ク」を行う土地には所有者はいない。家族の人数によってその広さを決め、土地を使う家族は、コミュニティに申し出て、『大いなる者』からのサインで土地を選ぶ。

 

象の夢を見たらOK、亀の夢はNOのサイン。亀は力強い存在で、人間はそれを超えることはできない。生き物が語る言葉を聴くことから離れたら生物多様性の答えはないという。土地は精霊が住むところなので、焼畑の前には「この土地を離れてください」と祈り、焼畑の後は「戻ってください」と祈る。

 

雨季の直前4月になると開墾が始まる。残す木は膝よりも高い位置で伐ることで、萌芽して再生させる。東風が吹く頃は雨が近い。焼畑をした後、雨が降るとスモッグにならず、延焼を防げる。

 

火をつけるのは1時間程度。5月に種まきをして11月に収穫をする。7年周期の焼畑で、1年だけ畑として使い、後は森に戻す。栽培するのは50種〜100種。主食である陸稲からキュウリ、トマト、チリビーンズ、パンプキン、バジル、ポテト、バナナ、花など多岐に渡る。数種類の種を混ぜて一つの穴に播く。

 

「ク」は自給作物を収穫する場であるとともに「在来種のシードバンク」でもあり、さらには「自然界との付き合い方を学ぶ大きな学校」でもあるそうだ。多種多様な作物がこの斜面一杯に混ざり合って、生き生きと育つ景色はどんなだろう。

 

「ク」の土地は夫婦関係に例えられる。初めの頃は仲良く快適で歩きやすい道だが、年数が経つと薮や木が生い茂り進むのが困難な道になると。面白い!



 

棚田が続く道の先の谷には、水源があった。冷たくて美味しい。森があり谷があり、水が湧き出し、この水で稲が育ち、暮らしが始まる。「レイジーマン物語」のDVDブックの表紙に書き添えられている言葉、『火が燃え広がっていても、その下には水が流れている。だから、希望はある』。この光景と重なる。そして、道端には大地の水を吸い上げてオジギソウがたくさん咲いていた。


山の水源
山の水源

 左)水源の湧き出し口


山の稜線へ出ると、集落の人たちが自ら消防団を組織して、村人総出で作った防火設備があった。「ク=焼畑=環境破壊」という間違った認識は、実際は資本家や土地を失ったタイ人が森に火をつけ、農地を増やしているにも関わらず、カレン族の差別や迫害の一因でもあった。クは、伝統的で森の再生可能な農法であることを、証明するためにも絶対に山火事を出すわけにはいかない。

 

ディプヌは、骨董屋で金属タンクを見て、これならバイクで山へ運び、サビにも強く使えると閃いたそうだ。実演では、枯葉に火をつけて燃え上がると、センサーが煙を感知して、スプリンクラーが作動してあっという間に火を消してしまった。


煙探知センサーと自動消火のデモンストレーション

40万リットルの水を貯める溜池は、深さ15メートル、150人の村人総出で11日間かけて人力で掘り上げたという。 現在は、30キロに及ぶ防火システムを設置し、オンラインカメラを設置し、24時間森林火災の監視を行っている。若い世代は最新のテクノロジーを使いこなし、経験豊富な年寄りは、風向きや森の仕組みを若い人たちに伝える役目を担っている。若きリーダーのディプヌは、ナショナルジオグラフィックの記事の最後にこう語っていた。

 

「水があれば、保水しなければならない。森とともに生きることは、森を守らなければならない。偏見を持つ人々は、私達が森を破壊するというが、森は私たちの家であり、命と同等に愛する魂だ」

 

▶2026.02.25配信、ナショナルジオグラフィック記事(タイ語)


上段左)尾根筋にある防火用貯水タンク。彼らはバイクでここまで運んだ。

上段右、下段右)消化実験

下段左)太陽光発電で煙を察知してスプリンクラーが動く。

 

気持ちの良い尾根筋で昼食とシェア会をした。「微力だけど世界に尽くしたい。大地に尽くしたい。その上で皆さんが来てくれたことが嬉しい。シェアしあうことは、世界のためになるのではないか。」と真っ直ぐに語る村人の姿が、コミュニティの協力し合う力で成し遂げる自信に裏打ちされているとように思えて印象深かった。

 

そして、下山!予定時間が押して、バイクの若者たちが私たちを後ろに乗せて、山道や崖をすっ飛ばしてくれた。最後は最高にスリリングなアトラクションだった。

 

Pa’ka Coffeeでディプヌとお別れ、最後にいただいたハチミツには深い想いが詰まっている。しかと受け取りました。本当にありがとうございました。


左)昼食後、村人と私たちのシェア会

右)ジェットコースター並み!バイクの後ろに乗って下山


村を支える若きバイクマンたち
村を支える若きバイクマンたち

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