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  • 執筆者の写真Aya Wada

エクアドル:海岸地方への旅 後編

イスラ・コラソンの干潟。


 今回の旅の目玉は、なんと言っても、10年以上ぶりに訪れた、イスラ・コラソンのマングローブの森でした。イスラ・コラソン野生生物保護区は、2,812ヘクタールの干潟とマングローブ林を有しています。2005年、この地域の一部は、数種の水鳥にとって重要であるとして、重要鳥獣保護区に指定されました。地元コミュニティはこの森の恵みである魚を獲って生計を立てていますが、自然保護を推進し、エコツーリズムも新たな収入源となっています。


魚や貝、エビを獲る地域コミュニティーの住民たち。彼らだけが、ここで漁をすることを許されている。


 地域住民たちやエコツーの参加者たちと植林をずっと続けてきたこのイスラ・コラソン。前編で記述しましたが、エビの養殖のため、バイーア・デ・カラケス周辺のマングローブはかなり伐採されましたが、このイスラ・コラソンは植林のおかげで、かなり回復しました。イスラ・コラソンはハートの島という意味で、ハート型をしていましたが、今は、その形がわからなくなるほど大きくなっていました。大きくなったマングローブ林を見ると、ツアーで訪れた時に一緒に種を蒔いたことを思い出します。マングローブの植林は実はとても簡単。長い種を土にさせばよいのです。簡単と言っても、何万本も植えるのは重労働。物凄い量の蚊の大群がまとわりついてくるので、必死です。また植林は植えておしまいではありません。きちんと根付いて、育っていくまで適切な管理が必要になります。


2003年のツアー中のマングローブ植林。シャベルも何もいらず、こうして土にさしていくだけ。


 干潟をボートで行く中で色々な説明を聞くのですが、その中で素晴らしいニュースを聞きました。こうした努力が一つの実を結び、過去25年間、あらわれることがなかったピンクの鷺の群れが、イスラ・コラソンに住み着いたのだそうです。


ピンク鷺の群れ


バイーアのシンボルのグンカンドリもたくさん。


私が植林をした20年後に子どもたちを連れていくことができました。ここのどこかに植えたマングローブがいるのかな。


 カヌーで、この干潟を渡り、さらに森の中に入ります。小さなカニや亀が木々の間に見え隠れします。マングローブの根っこはとても短いけれど、無数に根っこが縦横に広がりながら生え、幹を支えています。



 そして最後にご紹介したいのが、バイーアより少し北にあるリオ・ムチャーチョ有機農園です。リオ・ムチャーチョはマナビ県の海岸沿いの小さな谷間に位置する、ちょうど熱帯雨林と熱帯乾燥林の間にあるエクアドルにおける有機農業のパイオニアと言っていい農園です。この農園は、パーマカルチャーデザインとアグロ・エコロジーを実践している農園として国際的に認められています。約10ヘクタールの敷地には、フードフォレスト、菜園、牧草地、アグロフォレストリー・エリア、代替エネルギー・モデル(自転車のペダルで回すのミキサーなど)、動物飼育エリアなどがあり、年間を通じて100種類以上の作物が輪作され、農場には、豚、モルモット、鶏、犬、猫、馬が暮らしています。そして訪れた人々が、自分達で回れるように、矢印や細かい説明ボードが設置されています。



 私にとってこの農園が特別なのは、パーマカルチャーを初めて学んだところだからです。コンポストトイレや、バナナサークル、ホースを使ったソーラー温水器、みみずコンポスト、ありとあらゆるものの月の満ち欠けの影響など全部ここで学びました。地元にあるものを使って自然素材の家を建て、農園で採れたものを工夫して食べるという考え方もここで学んだことです。(コップ、お皿やスプーンに至るまで、農園で採れた瓢箪を使ったものなのです。)何より、私より10年以上前にエクアドルに来ていたニュージーランド出身のニコラの存在が、私がエクアドルで生きていく上で、とても大きかったです。有機農園、環境学校を運営し、エコパペルのグループを支援し、エコツアー専門のツアー会社をやっていた彼女は私にとってのモデルでした。


2017年、ニコラと農園。「何年やっても、虫、病気、水不足&過多、天候などとの戦いは終わらない。」


 残念ながら、彼女たち一家は現在はニュージーランドにいますが、リオ・ムチャーチョは運営を続けています。こうしてそこに住む人たちが変わっていく。今後どんな展開をしていくかわかりませんが、それぞれがそれぞれの場所でできることをやっていく。そして私もリオ・ムチャーチョで学んだことを胸にこれからも自分の場所でできることをやっていきます。


2023年、リオ・ムチャーチョ有機農園にて、ダリオさんと。ダリオさんも今はニュージーランドにいます。



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