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ブルーカーボンとマングローブ

ブルーカーボンネットワークが始動する。この新しい重要な運動の先頭に立つ友人、枝廣淳子さんの呼びかけに応えて、ぼくもこんな応援メッセージを送った。


2004年のスマトラ沖大地震のとき、ミャンマーの沿岸地帯にいたぼくとNGOの仲間たちや学生たちを守ってくれたマングローブの森は“命の恩人”だった。マングローブをはじめとする海辺の生態系がぼくたちの命の恩人だというのは、そういった災害から身を守ってくれるからだけではない。生物が海から陸へと進出し始めて以来、海と陸の間に広がる干潟や藻場、マングローブやサンゴといった海辺の生態系はずっと、いのちを育む揺りかごだった。それは、大気を、そして水を浄化しながら、この生きている星、地球の調和を保つためにせっせと働いてきた。その一つの重要な働きが、空気中の炭素を地中に吸収し貯蔵してくれるブルーカーボンだ。開発の犠牲になってきた海と陸の“あいだの生態系”がもつ偉大な価値に注目し、その再生を目指すブルーカーボン・ムーブメントは、持続可能な未来への扉を開くための鍵だとぼくは信じている。


以下、ブルーカーボンネットワーク発足に向けての枝廣さんたちからの呼びかけを紹介しよう。


海の豊かさを取り戻し、温暖化をストップしたい。


現在、海は温暖化による水温上昇や海洋プラスチック汚染、「磯焼け」と呼ばれる藻場の消失など、危機的な状況にあります。海洋の変化は、漁業者や海産物を扱う事業者、沿岸地域社会だけでなく、私たちの食にも影響を与えています。


このような状況に対し、藻場やマングローブの再生を通じて、豊かな海を取り戻すと共に、海の生態系が吸収・固定する二酸化炭素(ブルーカーボン)を増やすことで、温暖化対策の一助とする取り組みが世界的に注目されています。


ブルーカーボンに関する取り組みや様々な技術、制度をつなぐプラットフォームを作ることで、日本の藻場の再生・ブルーカーボンの取り組みを加速したい! 広げたい! そのためのプラットフォームとして、「ブルーカーボン・ネットワーク」を立ち上げたいと考えています。


各地の取り組みをつなぎ、情報を共有し、お互いに学びあい、刺激しあい、支えあって、それぞれの取り組みを進めると同時に、より効果的・効率的な藻場再生・ブルーカーボンの取り組みのための技術や制度にもつながる場になればと願っています。


温暖化の被害に心を痛めたり、何とかしなくては、と思っている人は増えています。ブルーカーボン・ネットワークのウェブサイトでの情報発信や、シンポジウム・セミナー、見学会などを通じて、藻場の大切さやブルーカーボンについての理解をひとりでも多くの方々に持っていただけるよう、意識啓発の活動にも力を入れていきたいと考えています。


―――いつの日か、日本列島が海藻・藻場の帯でぐるりと囲まれ、豊かな海の生態系が広がり、漁師さんたちも「昔みたいに魚が獲れるようになったなあ」と言ってくれるような、同時に、大量の二酸化炭素を吸収することで、温暖化をストップする大きな力の1つになっていたら・・・? そんな日を夢見て、ブルーカーボン・ネットワークを立ち上げます。ぜひお力を貸してください。


枝廣淳子(株式会社未来創造部代表)

吉高まり(一般社団法人バーチュデザイン代表理事)

河本雄太(株式会社オーシャナ代表取締役) 


11月3日にはブルーカーボンネットワーク発足を記念するシンポジウムが開かれる。枝廣さんからこんなメッセージも届いている。


私は25年ほど前から環境問題に取り組んできましたが、温暖化への対策と、海の

豊かさを取り戻すことが非常に重要な課題であると考えています。


縁あって移住し活動を始めた熱海で、「温暖化対策+海の豊かさを取り戻す取り

組み」として、藻場の再生を通じてのブルーカーボン(海洋生態系に吸収・固定

化されるCO2)にも取り組んでいます。


ほかの地域でもブルーカーボンに関わる取り組みがいくつかありますが、現在、

そういった地域のプレーヤーやこれからやりたいと思っている人々をつなぐ場が

ありません。


そこで、「ブルーカーボンネットワーク」を立ち上げ、情報や学びの共有を通じ

て、各地のブルーカーボン・藻場再生の取り組みを支援・加速したいと願ってい

ます。


11月3日(祝)の午後には、ブルーカーボンネットワーク発足記念シンポジウムを

開催し、キックオフとしたいと考えています。


世界的に注目の集まるブルーカーボンですが、日本ではまだあまり知られていま

せん。多くの方に知っていただき、関心を持っていただきたい! 

・・・<中略>・・・

すでに、ap bankの小林武史さん、 、ラグビーのコーチ・監督として大活躍され

た株式会社チームボックスの中竹竜二さん、ジャパンブルーエコノミー技術研究

組合(JBE)理事長の桑江朝比呂さんをはじめ、多くの方から応援メッセージを

いただいており、さらに輪を広げていきたい!と願っています。


少しでも多くの方々に、温暖化対策と海の豊かさを取り戻すための一石二鳥のブ

ルーカーボンの取り組みについて知っていただきたい、支えていただきたい、取

り組んでいただきたい、と願っています。

・・・

11月3日のシンポジウムについて

参加は無料。詳細やお申し込みはこちらから。


最後に、90年代半ばからエクアドルで、マングローブ原生林の保全や、マングローブ生態系の再生、植林の活動にぼくが参加していた頃の写真をいくつか、見てもらおう。


エクアドル北部マハグアールのマングローブ原生林

エクアドル中部バイア・デ・カラケスのマングローブ再生林

バイア・デ・カラケスのマングローブ林に営巣する海鳥

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