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執筆者の写真辻信一

おしゃべりはたくさんだ。さあ、行動を!

「温暖化は疑う余地がない」「人類にとっての非常事態」

こうしたIPCCの最新の報告書に応えて、カナダの環境運動家で、科学者のデヴィッド・スズキがメッセージを発信した。本人から届いたメールを、以下、意訳させてもらった。



私は怒り心頭だ。いや、怒りを通りこして絶望で青ざめている。私たちは今、気候危機による人類滅亡の非常事態にある。私たちは、温室効果ガスによって気候を変え、最良のセイフティーネットである自然を破壊している。


すでに崖から落ち始めている私たちにとって、問題はどこまで落下するか、だけだ。


何十年も世界中の科学者たちは警鐘を鳴らし続けてきた。人類は、人口過剰と、身につけた過度の力と貪欲さによって自然破壊を引き起こし、それによって自分たち自身の存続の危機に立たされている、と。しかしそれに耳を傾けない私たちの前に、とうとう一人の子ども、グレタが現れた。下ごころも利害ももたないグレタは、ただ科学者たちが語ってきた単純な真実を突きつけたのだ。つまり、このままいけば、子どもたちに未来は残されていない、ということ。


さあ、この上何を待とうというのか。行動を開始しない理由は? おしゃべりは行動ではない。「2050年までに排出量実質ゼロ」はただの言葉であって、行動ではない。


国政選挙が近づいている。しかし、それは何のため? 私たちは非常事態の中にいるのだ! 前の保守政権は意識的に排出削減の提案を無視したり、それを「気が狂った経済」と呼んで、議論そのものを封殺しようとしていた。一方の自由党政権はこの6年、気候危機に関心を寄せると言いながら、何十億ドルという私たちの税金をパイプラインにつぎ込み、オイルサンドの増産を進めようとしてきた。そのバカげた言い訳はこうだ。CO2排出削減のためには、オイルサンドにかけた税の収入が必要だ、と。何という論理だ。それは「喫煙はガンの原因なので、もっとタバコを売ってもらって、その税収入を肺がんの治療に当てる」というのと同じだ。ブリティッシュ・コロンビア政府が温室効果ガス排出を減らすための野心的な炭素税を打ち出した時、新民主党は「アックス・ザ・タックス」というスローガンでそれに反対したのである。


政治的なサッカーはもういい加減にしてもらおう。気候変動に対する真の行動を始めなければならない。それはのんきな「みどりの政策」などではなく、全政党が一緒に取り組むべき緊急の責務なのだ。


非常事態に何をすべきか、新型コロナウイルスが教えてくれたではないか。そこでは、多額の支出を正当化するための作り話は必要なかった。非常時に必要なことに、私たちは支出を認めたのだ。債務超過や赤字を理由に反対したり、金の出所について疑ったりする政党は一つもなかった。それは政治的なかけひきの問題ではなかった。なぜなら、それは非常事態であり、私たちはそのために必要なお金を見つけ、それに当ててきたのだ。そして、コロナを巡って私たち誰もが、自分の暮らしや行動を変えたではないか。


早急に温室効果ガスをなくすことは、今や、存亡の問題である。全ての政治家に言ってやろう。これこそが、われら人類にとっての最優先事項である、と。戦争の時の合言葉ではないが、みんなが協力し合わなければならない。そう、私たちの生命線である気候と自然を守るために。


子どもたちから未来を奪ってはならない。


IPCC報告書について:

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