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イタリア経由、「ウィルスからの手紙」

あれは3月上旬だったと思う。「ウィルスからの手紙」という動画が、カナダのハイダ族の友人から送られてきた。映像に乗せて、女性の声がイタリア語で語りかける。その詩には、ありがたいことに英語の字幕がついていたので、早速、書き取っておいたが、それがよかった。というのは、数日のうちになぜか削除され、それっきり見られなくなってしまったから。


当時、イタリアがどのような状況だったかを思うと、なおさらこの詩が心に迫ってくる。以下、ぼくの訳で紹介する。イタリア語の原詩からかけ離れたものになっていないことを祈る。 (辻 信一)


(他にも同じ時期に、SNS上に、新型コロナウィルスから人間に向けて送られた手紙という形をとったメッセージや動画が、アメリカやヨーロッパから発信されていていたようだ。日本で一番有名になったのはVivienne R. Reich のもので、もちろん今でも見られるので、まだの人はぜひ)

 

ウイルスからの手紙

詩 ダリンカ・モンティーコ 

止まれ 動くな。 

これは依頼ではない 義務だ。

私はあなたを助けに来た。 

線路という線路は超音波の山で覆われている。

電車も学校もショッピングセンターもイベントも集会もない。

あなたに空を見ることさえ忘れさせていた

狂った幻想の嵐を突き破って。


見よ 星を。 

聴け 海の音を。

鳥が鳴き 草原が囁くのを。

木からリンゴをもいで 

森の中の動物たちに微笑み

山の空気を吸い 自分自身の声に耳を傾ける。


止まるしかなかったのだ。

神になり代わることはできない。

私たちには共通の義務がある。

いつの世もそうだった。 

でもあなたはそれをつい忘れてしまったのだ。

このメッセージをあなたに伝えるために

恐るべき分断と混乱の“感染症”を止めることにした。


私たちの誰にとっても状況はよくない。

私たちは苦しんでいる。 

去年いたるところで森を呑み込んだ火事は

地球の肺を壊した。

それでもあなたは止まろうとしない。

氷山が溶けてもあなたは止まらない。

史上6番目の大絶滅の犯人が自分だと知っても

あなたは私の声に耳を傾けたことがない。


それもそのはず 

快楽の階段を天辺まで登るのにあなたは忙しすぎる。

社会の土台があなたの貪欲のために崩れつつあるというのに。


あなたを助けたい。

だから、あなたの体に業火の嵐を送り込み

あなたの肺の管を閉ざす。

大海原に漂う氷上のシロクマのようにあなたを孤立させる。


さあ、これで私の声が聞こえる?

私たちの誰にとっても状況はよくない。

私は敵ではない。

私はメッセンジャー

味方

調和を取り戻す者。


さあ、聴け。 

あなたが耳を澄ますまで私は叫び続ける。

止まれ 静まれ 耳を澄ませ。

空を凝視せよ。 

何が見える?

飛行機は飛んでいない。

酸素という贈り物に気づいて

ありがたいと思うのに、これ以上何が必要なの?


海を見つめよ どう見える?

川を見つめよ その姿は?

大地を見つめよ その変わり果てた姿を。

そして自分自身をしばし見つめるのだ どう感じる?

この病んだ生態系の中で 

あなただけ健康でいることはできない


止まれ 恐怖を覚えるのはわかる。

しかし、その恐怖に屈してはならない。

打ちひしがれてはならない。

そこに秘められたメッセージを聴きとり 知恵をつかめ。

マスクで覆われていない目で微笑むことを 学ぶ時だ。

私はあなたを助けよう もし耳を傾けてくれるなら。



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