この2月、経営危機にあったカフェスローへの応援メッセージを書いた。
その後、厳しい状況が続く中、なんとか、やっているようだ。明日はいよいよ創立20周年を迎える。あの場での数々の出来事が走馬灯のように心をめぐる。
オンラインイベントには懐かしい仲間たちも顔を揃える。島村菜津や関野吉晴といったカフェゆかりの友人たちも。ご都合のつく方はぜひ。>>イベント詳細はこちら
応援メッセージ 辻 信一
2021年2月23日
カフェスローの創設に参画できたことは、ぼくの人生の中の重要な出来事でした。でも今は、個人的な思いは横に置いて、客観的にこのユニークなカフェの存在意義を考えてみたいと思います。
2001年に創設されてからの十年間の活動を支えた精神は、ナマケモノ倶楽部が発した「スローカフェ宣言」(*参照)によく表れていると思います。フェアトレードとスローフードを二つの軸にして、スローライフという言葉で表現されるエコロジカルな生き方を提唱し、自らも体現する・・・。この十年間、カフェスローは国内外各地から、その多くが遠方からの人々が集う交流と情報交換、そして表現の場として、大事な役割を果たしました。
次の十年間は2011年3月11日に始まりました。その十年とは、思い切って要約すれば、ローカリゼーションの拠点として自らを規定し直し、FUKUSHIMA以後の脱原発運動と真の復興(今でいう“グリーンリカバリー”)を自分たちなりに体現すべく活動してきた年月だったと思います。
そして今、カフェスローは第三の十年期に入っています。これまでの二十年も平坦な道ではありませんでしたが、今度はコロナ禍という一層大きな困難の中から、カフェスローは立ち上がろうとしています。
ぼくは思うのです。これからの十年はもう回復とか復興などという後ろ向きの言葉で表現することはできない、人類史にかつてなかった大転換(グレート・ターニング)−−一言でいえば、「分離(セパレーション)からつながり(リレーション)へ」−−の時代だと。そしてぼくはカフェスローという場が、そしてそこを拠点に展開されるムーブメントが、この時代に、これまでの二〇年間の貴重な経験を基に、大事な役割を果たしうると確信しているのです。
みなさん、カフェスローの第三の十年にぜひ、ご参画ください。カフェスロー創設時からの仲間であった、今は亡き建築家の兄、大岩剛一の遺志を胸に、ぼくはこれからもカフェスロー・ファミリーの一員としてささやかながらできることをしていきたいと思っています。
*スローカフェ宣言
ひとつ、スロー・カフェはオーガニック・カフェ
有機無農薬コーヒーの普及をつうじて「南」の生産者の持続可能な地域づくり、
そして日本の消費者の健康な食生活に寄与することをめざします。
ひとつ、スロー・カフェはフェアトレード・ショップ
環境を破壊し富と貧困の格差を拡大する一方のグロ-バル化のかわりに、生産者と消費者、都市と農村、
「南と「北」、今の世代と未来の世代、人と他の生物たちとの間のより公正な関係をめざします。
ひとつ、スロー・カフェはスロー・フード
安全で新鮮な食材を使った手づくりのおいしい料理を、ゆっくりと楽しんでいただける場をめざします。
ひとつ、スロー・カフェはスロー・マネー
利子を生まない通貨として今世界中で注目されている地域代替通貨を取り入れ、
より公正でいきいきとした地域経済圏をつくり出すことをめざします。
ひとつ、スロー・カフェはインフォ・カフェ
環境問題、「南北」問題をはじめとする様々な情報交換の場、
そして音楽・映像などの表現活動の場となることをめざします。
ひとつ、スロー・カフェはスロー・ビジネス
スロー・カフェは投資、起業、販売、消費など人それぞれの経済行動を通して、
美しさ楽しさ安らぎなどの価値を社会を取り戻すための事業をめざします。
ひとつ、スロー・カフェはナマケモノ的ライフスタイル
切迫する環境危機とは、他ならぬ私たち自身の文化の危機でありライフスタイルの破綻であると考え、
自然と人との、人と人との、よりスローでエコロジカルな関係に基づく心豊かな生活文化を提案します。
スロー・カフェは、「私もこんなカフェをやってみたいな」という人たちを応援します。
2002年1月 ナマケモノ倶楽部
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