昨日は夏至の日、世界ローカリゼーション・ウィークの最後を飾る(?)オンラインのパネルディスカッションに参加した。世界のあちこちで、今年のローカリゼーションデイの様々な活動を展開したアクティビストたちの集いである。時差の関係で二つに別れて行われた集いの二番目(?)。リーダーのヘレナ、そして彼女とともに今回も世界各地の多くのグループやコミュニティをコーディネートした「ローカル・フューチャーズ」のアンニャ・リンベック(メキシコ)、ヘンリー・コールマン(オーストラリア)。他に、メキシコ、フィリピン、インドネシア、バングラデシュ、ネパール、ブラジル、アメリカから、それぞれ一人ずつ。オーストラリアからさらに二人が議論に加わった。このひと月ほどのそれぞれの地域からの報告に続いて、これからのローカリゼーション運動について、意見を交わした。
特に印象的だったのは、参加者全てが一様に、自分の周囲の草の根運動の盛り上がりに驚いている様子だった。「ローカリゼーション」という誰にとっても新しく、耳慣れない言葉がしかし、今では一つのハッシュタグのように、一つの共通項となり、これまで互いに別々の運動だと思っていたものが、実は同じ方向に向かって歩む仲間同士なのだということを認識し始めているようだ。
討論の中で、特に重要だとぼくが思った二点のうちの一つは、この世界的ムーブメントが「ホリスティック」なものだということだ。それは単に、グローバリズムや新自由主義に対する政治的・経済的な対抗運動であるだけではない。環境運動だけでもない。格差や貧困、孤立に対する社会運動だけでもない。それら全てであると同時に、それは文化的、精神的な価値の取り戻しでもある。今日の議論の中でも、多くの地域で若い世代が今、先住民の文化に学び、先祖たちのうちに生きていたはずの大地、コミュニティ、隣人たちとの共生や協同、思いやり−−ぼくの言葉で言えば三つの「エア」=ケア・フェア・シェア−−のスピリットをとり戻そうという機運が高まっている。こうした実感を参加者たちは確かめ合うことができた。
もう一点は、ヘレナが提起した古くて新しい問題点をめぐってだった。世界中、ローカルな活動に専心している人々の中にある、グローバルな問題への無関心、そして逆に、グローバル・システムへの対抗に熱心な人々の中にあるローカル活動への軽視、という傾向についてだ。これについて意見を求められたブラジルのタイースをはじめ数人が、力を込めてこう言った。かつて根強かったこの傾向を乗り越える点にこそ、今のローカリゼーションの意義がある。グローバル経済システムが、様々な問題を引き起こす仕組みをよりよく理解し、そこから自律することに意識的であればするほど、経済や暮らしのローカル化が広がり、深まる。こうした相乗効果を、コロナ禍の中で、今、世界中のあちこちでますます多くの人々が実感しているようだ。
6月12日の日本でのローカリゼーションデイと、その前後一週間に行われた多くのイベントの動画などが公開されている。まだの方はぜひのぞいてみてほしい。そして世界中で勢いを増しているローカリゼーションの流れを感じていただきたい。
>>ローカリゼーションデイ日本の特別サイトはこちら。
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