庭の畑に、大根の花が咲きました。この大根は「女山三月大根(おんなやまさんがつだいこん)」と言って、紫と白のグラデーションが美しい、身のつまった甘い大根です。2年前に、農家をしている友人から分けてもらったタネを、つないでいます。
女山三月大根は、江戸時代ごろから佐賀県で栽培されてきたといわれる、伝統野菜です。一度はなくなってしまったものの、長年の調査によって復活した品種の一つです。
「女山」とは、佐賀県にある山の名前で、かつてその一帯で育てられていたそうで、当時は大きなもので10kgを超える、巨大な大根だったそうです。「三月」というのは、三月まで収穫できるから、ということですが、鹿児島は温暖なせいか、3月に入ったらとう立ちをはじめて、身はかたくなってきました。
去年は、「三月に植える」と勘違いしてしまい、大失敗…! 今回は、ちゃんと秋にタネ播きをして、12月ごろから楽しめました。庭の畑は種取り用にして、他に一反ほどの畑を借りることができたので、そこを(主に夫が)せっせと耕して、この冬は女山三月大根、宮重(みやしげ)大根の2種類を育ててみました。宮重大根は、青首大根に似ていますが、少し小ぶりで細長く、リッチな味わいです。サラダに煮物におでんに鍋にぬか漬け、切り干し大根や、丸ごと干して沢庵に。大根三昧の日々でした。
綺麗な写真ではないですが…軒先に干してます。奥にある大根葉は冬に最高の入浴剤。ニガリと一緒に湯船に入れると、身体がポカポカになります。
また、今年は自分で育てることはしませんでしたが、食べ比べてみた大根たちを紹介します。
鹿児島で有名な伝統野菜といえば、桜島大根。活火山の桜島から降り注ぐ火山灰たっぷりの土壌と、なぜか相性抜群で、桜島で今も盛んに栽培されている、「大きなカブ」のような大根です。見た目の激しさとは裏腹に、なめらかな食感と優しい味わいです。
もうひとつ、国分大根というのも、鹿児島の伝統野菜で、綺麗な紫色、こちらは甘くてジューシーです。国分大根も大きくなります。
鹿児島に移住してまず驚いたのは、一年中様々な柑橘類が楽しめることでしたが、ここ数年は、いろんな大根を堪能できるようになりました。
私が幼いころ、父に習ったおそらく唯一の鹿児島弁が、「大根はデコンっていうんだよ」。デコンにまつわる鹿児島の民話もあり、今は私が子どもたちに、かごんま弁で読み聞かせています。
人参や大根といった、一年中スーパーに並ぶようなありふれた野菜にも、じつはたくさんの品種があります。また、気候、地域、育ち方によって、味も変わってきます。食べ比べてみると、どれも特徴があって、おもしろいですよ。
さらに、自分で育ててみると、いろいろな発見があります。咲いた花から、タネがなり、今年の秋にむけてタネ取りをして保存するのは、少し手間のかかる作業ですが、また次のタネ播きが楽しみです。
野菜も言葉も、それぞれの知育の特色があって豊かさを感じます。
国分大根気になります。