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「いいこと」を愉しくやれているか?-参院選を前に 川崎 浩



イラスト:藤岡亜美

7月10日は,参議院選挙の投票日ですね。

最近読んだ本に,こんな一節を見つけました。


「今,世の中を動かしているのは,政治よりもどちらかといえば経済ですね。経済を動かしているのは集合体ですが,あえて言えば,企業と言っていいでしょうね。大企業をはじめとして企業が一番怖いのは,消費者です。政治家が一番怖いのは,民主主義が発達していれば,選挙ですね。
そうすると,女性と若者だけで,消費者の過半数,選挙民の過半数を得ているのだから,じつは経済と政治を支配できる可能性は残っている。
つまり,消費者という立場の人が,安いものであればなんでも買う,消費をあおられれば,それに乗っかっていくというのではなく,知性をきちんと身につけて,生産形態を変えていくということです。消費者であり,選挙民であるということが同居して,民主主義が育っていくならば,可能性が残っていると思います。」

ほんとに,そのとおりだと強く同感しながら読んだのですが,問題はここだと思います。


「安いものであればなんでも買う,消費をあおられれば,それに乗っかっていくというのではなく,知性をきちんと身につけて,生産形態を変えていくということです」

「知性をきちんと身につけて」一票をだれに投じるかということを決める大人が増えれば,わたしたちのこれからの暮らしは確実に変わると思うのです。


ではこの「知性」ってどんなもので,どうしたらきちんと身につくのでしょうか? この本の著者はこう述べています。


「知性というのは,〈いいことを愉しくやる〉ということだと言い換えてもいい。いいことをがまんして,つらくてもやろうというのは,自己犠牲であったり,殉教精神ですね。知性が高まれば,欲望で支配したり,競争を好むという方向から逆の方向に行く気がします。」

ここからはわたしの想像になりますが,

「いいこと」というのは多分,世の中の多くの人に喜んでもらえるようなことではないのでしょうか。とくに,なにか困っている人が助かるようなことではないかと想像します。ひとは,自分が何かをすることによって他の人に喜んでもらえるということは大きな喜びだと思うのです。


たとえば,仕事にしても,儲けるために何かをするのではなく,その仕事をすることによって誰かが助かって喜んでくれるようなことですね。そしてその仕事をすることによって儲けた利益で暮らしてゆく。基本的に仕事というのはそういうものだとは思うのですが,この「いいことをする」ということと「儲ける」ということが逆転して,「儲けるために仕事をする」となってしまうのがいけないのではないでしょうか。そうすると,たとえば,「ここには道路なんか作らなくて,草地のままにしといたほうが子どもたちの遊び場になって,いいんだけどな」というようなところにまで,「とにかく道路を作るという仕事をしないとより儲けることができないんだから,作ってしまえ」となってしまう。


いま,日本だけでなく世界中の多くの人がそういう「知性をきちんと身につけていない人」になってしまっているのではないでしょうか。


お金を儲けることを第一にするのではなく,いいことをする方を第一にすることの幸せを多くの人が忘れてしまっているのではないでしょうか。「いいことをすることの愉しさ」をわたしたちの世の中にとりもどさなければいけないのではないでしょうか。そのためには,いいことをして愉しく暮らしていけるだけの利益を得なければ,いいことをして暮らすことはできません。「愉しく暮らしていけるだけの利益を得られるようないいこと」ってなんなんでしょうか?


それは自分で見つけないといけないんでしょうね。いろんなことを体験したり,いろんなものを作ってみたり,同じようなことを考えている人たちと仲間になって一緒に考えるのがまた愉しいのかもしれません。


考えてみたら,ナマケモノ倶楽部って,そういう場なんですよね。たぶん。


なんだか参議院選挙の話から飛んでしまった気がしますが,わたしたちの1票がきちんと活きるためには,なんといっても民主主義が機能していることが必要です。民主主義をより発達させるような方向にわたしの1票は使いたいと思っています。そのためにも,まずは知性をきちんと身につけた人にならなくては。それにはまず「いいことを愉しくや」れているかどうか,もういちど自分に問いかけてみます。自分ではやっているつもりなんですけどね。


あ,そうそう,これを忘れてはいけませんね。

冒頭に引用させていただいた本はこれです。すごく刺激的で面白い本です。

藤村靖之・辻信一『テクテクノロジー革命〜非電化とスロービジネスが未来をひらく』(大月書店,2008年9月)

わたしは国分寺のカフェスローで見つけて買いました。


川崎 浩





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藤村先生の「月3万円ビジネス」の新装版、私の住む地方の書店の店頭にも!再び注目を集めているようです。

ナオキン

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