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ムダを愛でよ  坂本龍一の遺志を継いで森を守ろう


西表の海辺で、リゾート建設に反対する看板のそばに立った坂本龍一

<坂本龍一さんとともに、神宮外苑の森を守ろう!>


コロナ到来後間もなく、「不要不急を避けよ」という恐ろしい強迫観念が社会を覆い始めたとき、いち早く坂本龍一さんが発した抵抗ののろしが、「ムダを愛でよ」という言葉でした。芸術は、音楽は不要不急だが、それでいいのだ。役になんか立ってたまるか、と。


巨大都市のど真ん中にある奇跡のような神宮外苑の森が、経済にとってムダにしか見えないのは、人々の休息やくつろぎが金儲けにとっては役に立たないのと同じです。戦争は経済成長にとって有益でも、人々の安寧や充足、平和は役立たない。手つかずの自然は、開発して、はじめて有用なものとなる。この論理で、経済最優先の人間社会は、自然を破壊し続け、平和を脅かし続けてきたのです。


平和と安息、森、海、川、山という非経済的価値=ムダを愛する私たちは、今こそ、坂本さんのあとに続き、「ムダを愛でよ」という遺言を掲げて、抵抗に立ちあがろうじゃありませんか。


金儲けにとってムダに見える神宮外苑の森が、しかし、まだそれに出会っていない未来の人々にとってさえ、いかに大切な宝物であるかを、訴えましょう。私たちの愛によって抱きしめることによって、神宮外苑の森を守り、子どもたちに、そのまた子どもたちに手渡しましょう。


2023年4月20日 辻信一



<坂本龍一さんから小池知事への手紙全文>


 東京都都知事 小池百合子様

 突然のお手紙、失礼します。私は音楽家の坂本龍一です。神宮外苑の再開発について私の考えをお伝えしたく筆をとりました。どうかご一読ください。

 率直に言って、目の前の経済的利益のために先人が100年をかけて守り育ててきた貴重な神宮の樹々を犠牲にすべきではありません。これらの樹々はどんな人にも恩恵をもたらしますが、開発によって恩恵を得るのは一握りの富裕層にしか過ぎません。この樹々は一度失ったら二度と取り戻すことができない自然です。

 私が住むニューヨークでは、2007年、当時のブルームバーグ市長が市内に100万本の木を植えるというプロジェクトをスタートさせました。環境面や心の健康への配慮、社会正義、そして何より未来のためであるとの目標をかかげてのこと、慧眼です。NY市に追随するように、ボストンやLAなどのアメリカの大都市や中規模都市でも植林キャンペーンが進んでいます。

 いま世界はSDGsを推進していますが、神宮外苑の開発はとても持続可能なものとは言えません。持続可能であらんとするなら、これらの樹々を私たちが未来の子供達へと手渡せるよう、現在進められている神宮外苑地区再開発計画を中断し、計画を見直すべきです。

 東京を「都市と自然の聖地」と位置づけ、そのゴールに向け政治主導をすることこそ、世界の称賛を得るのではないでしょうか。そして、神宮外苑を未来永劫守るためにも、むしろこの機会に神宮外苑を日本の名勝として指定していただくことを謹んでお願いしたく存じます。

 あなたのリーダーシップに期待します。


 2023年2月24日 坂本龍一

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