講演要旨:
現在、世界の主流をなす教育は、技術や経済の発展のために必要不可欠な要素となっており、子どもを「車輪の歯車」に仕立てようとしています。この教育システムは、若者が現在直面しているパラダイムについて疑問を投げかける手助けになるどころか、その問題点や暴力性、人間や環境が被る犠牲などについて、深く考える術さえ与えてくれません。
すべてのものはつながっている、というのがエコロジー概念の基本であり、この危機の時代に考えるべき枠組みです。しかし、学校や大学など教育の現場では、自然界における相互関係を学べるような、多様なカリキュラムが組まれているところはほとんどないのです。
グローバル経済が、モノカルチャー、1%の人々に権力が集中する政治、不健全で不公正な開発を引き起こしていることを学びましょう。そうすれば、ローカル化、地域ごとの多様化、権力の分散化が、しあわせの経済へのプロセスだと気づくはずです。
幸せの源泉は、自然や地域社会とのつながり、楽しく創造的で意味のある仕事、ホリスティックな思考、内面の成長、自然界への敬意などにあります。これらは大学のカリキュラムと違い、教室で「教わる」ものではありません。自然や地元の景色、コミュニティや地域文化に触れることで、経験的に体得するものなのです。子供の目から見ると、そういう学びは面白く熱中でき、やる気を呼び起こします。
残念なことに、現在の教育はとんでもない代物となり、教師の多くは勉強方法や短期間で即効性がある成績向上の追求に一所懸命です。ヘレナ・ノーバーグ=ホッジが言うように、私たちは教育においても「ビッグピクチャー」を描くことが必要です。
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