巻頭コラム31

六ヶ所村の再処理工場はものすごいテロですよ。六ヶ所村は、縄文文化圏のど真ん中。その時代からずっと続いてきた人間と自然界からなる共同体に対するテロです。
空気、海、土は今の世代ばかりでなく、未来に生きるすべての生きものの生存の基盤、母なる大地ですよね。それに決定的なダメージを与えるテロです。だからロッカショはもうひとつのグラウンド・ゼロ。

ではぼくたちはどうしたらいいか。ノーム・チョムスキーは9.11の後、こう言ったそうです。「誰だってテロをやめさせたいと思っている。簡単なことです。参加するのをやめればいい」

システムはぼくたちをこのテロに巻き込もうとしている。今のところ、やすやすと。
マスコミも全くあてにならない。ぼくたちはぼくたちのやり方で、草の根のコミュニケーションを活発にして、テロへの参加を拒絶し始めるしかありません。できることから自分の暮らしを変えていくんです。そのひとつひとつはどんなにささやかに見えても、それが集まればすぐ、原発分といわれる電気の3割分くらいは省エネ、つまりボイコットできる。自己満足だって? いいじゃない、すべては自分満足から始まるものです。自然エネルギーを応援し、できるところから参加してゆきましょう。使い捨てをナマケる。自動販売機をボイコット。GNH、つまりより少ないモノでより多い喜びを。農的な暮らし。地産地消、フェアトレード・・・。そして木を植えましょう。

その一方で、まず今年11月に予定されている本格稼動を食い止めるために、自分にやれることをしましょう。『六ヶ所村ラプソディー』を広めよう。勉強会でも、ウォークでも、ライブでも、デモでも、フェスティバルでも、ビラでも、本でも、ブログでも、MIXIでも、お祈りでも、やれることはなんでも。六ヶ所の人々と、青森の人々と、北東北の、南北海道の人々とつながりましょう。

もちろん本当の意味の解決への道は遠いでしょう。近道っていうのは多分ない。時間はかかる。だって、この社会にはびこっている、「経済成長のためには戦争も環境破壊も仕方ない」という馬鹿げた「常識」や、「海や大地を汚しても金儲け」なんていう歪んだ価値観を変えようっていうんだから。でも、ひとりひとりの気づきは一瞬で起こる。大事なのは金じゃないんだ、新鮮な空気だ、きれいな水だ、いのちだ、と思えるだけでいい。その瞬間に実はもう大きなうねりができているんだと思うんです。

僕たちは今、わかれ道に立っています。そのことにしかし、まだ多くの人は気付いてない。でも、この六ヶ所問題は、とてもいいきっかけになりうる。プルトニウムみたいな恐ろしいものを大量に抱え込むことの恐ろしさを知るきっかけ。『美しい国』どころか、とんでもない汚れた不自由な国になってしまうということを知るきっかけに、ね。そこを若い世代と共有できたら、社会が本質的に変わるような大きなシフトが起こりうる。そう、あなたがハチドリのクリキンディです。ひとしずくをありがとう。

辻 信一
「六ヶ所村ラプソディ」群馬上映会によせて)