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巻頭コラム06

二日前にこんな会話を宇宙塵と交わしました。
「オリンピック、疲れるよね。うちでとってるA新聞なんか、もう朝夕スポーツ新聞 ばりで、スポーツの勝った負けた、金だの銀だの、雪辱だの、苦杯だの、という見出 しのついたでかい記事をかきわけるようにして、片隅に、イラクで民兵50人殺害と か、台風で8人死亡とか、原発事故とか、パレスチナのリーダーの一家殺害とか、沖 縄の米軍ヘリ墜落とか、敗戦記念日の平和の祈りとか、をなんとか見つけ出してると いうありさま。オリンピックが平和の祭典だって?報道されるのは日本人選手につい てばかりじゃない。進歩しない、というか以前にもましてひどくなってる。A新聞や めようかな」

「ぼくは新聞なんかとってないよ。でもどうなの、マスコミが大騒ぎするけど、みん なそんなにもりあがっていないんじゃない? 少なくともこの近所じゃ、もりあがっ てないよ」

「電車なんかで、スポーツ新聞にすがりつくように、懸命に読んでるおじさんがいる けど、なんか哀れだよね」 「かわいそうだよ。みんなさびしいんだ。若者も他に愉しいことがないんだよ」 「それにしてもおじさんたちはやばいね」

「おじさんはもういいよ。疲れてる。だから頑張ってしまう。もっと楽にクネクネと やればいいのに。やわらかく、しなやかに。固くしていると、ボキッといきやすいん だよ。やわらかい方が強いの、結局。コンニャクのように。ぼく、子どもの頃、言わ れてたよ、みんなに、コンニャク、コンニャクって」

「それって、バカにされてたの?」

「多分、バカにしてたんだろうね。でもぼく、自分でもコンニャクだと思ってたし」

「コンニャクか。実は、今ぼくが参加しているビルマでの環境再生プロジェクトで、 コンニャクが注目されているんだ。その辺が原産地なのね。これを持続型の経済のひ とつの要素にしようと。コンニャクが世界を変える、とか、コンニャコロジーとかと ぼくは呼んで、仲間内でもりあがってるんだ。ところで、宇宙塵はコンニャクと呼ば れるのが嫌じゃなかった」

「うんうん、嫌じゃなかった。そしてほんとにクネクネ歩いてた」(笑)

「コンニャクと呼ぶのも、コミュニケーションだろうね。無視するのとは違う一種の 認知だ」

「そう、認められてたんだと思うよ、回りの子どもたちに。愉しかったんだよ、きっ と。彼らにとっても、ぼくにとっても」 「深い。コンニャコロジーだね。やっぱりコンニャクが世界を変える!」

さて、9月は9の月、9・11の9月でもあります。華氏911じゃないけど、本当 に世界は今熱ーくなってしまっている。ますます投機的で、競争的で、攻撃的で、不 寛容。坂本龍一さんの言うundercooled。そんな9月をどう過ごすか。今、ぼくたち がとれるもっともラディカルな態度は、コンニャクのように9ネ9ネすること。そし てナマケること、休むこと、つまり9戦して、9暇をとり、9養をとり、9息をとる こと。