辻信一です。春ですね。みなさん、いかがお過ごしですか。
ぼくは昨日、ブータンへの旅から戻りました。バンコックから日本に飛行機で発つちょうどその頃に、スマトラ沖大地震ver.2が起こっていたことを昨日の新聞で知りました。12月のミャンマーへの旅でver.1を経験したことを思うと、何か不思議なカルマを感じます。ブータンからバンコックへの機中で、ブータンでマイクロ水力発電の事業をやっているオーストリアのエンジニアと、原発をめぐって熱い議論を交わしたばかりでした。原発維持派の彼ですが、日本が地震や津波の国であるということをぼくがしゃべった時には、さすがに黙って、ただ唸っていました。一方、エンジニアの彼と意見が一致したのは、日本がブータンでやってきた河川工事のお粗末さ。これは明らかに日本だよな、という醜い河岸を見て、とても恥ずかしい気がしました。地元の人たちにも評判よくありません。
ブータンでは、知的好奇心に突き動かされっぱなしで、16日間を子どものように夢中で過ごしました。九州ほどの面積の国ですが、とにかく高い山々と気が遠くなるほど深い谷ばかりなので、地図上では短距離の移動でもすごく時間がかかります。それでも、ツーリストのいない東部の遠隔地にまで連れて行ってもらい、村の民家で数日を過ごすことができました。ぼくはこれまで文章の中で、何回か、ブータンの国王が提唱したGNH(GNP=国民総生産ならぬ国民総幸福)のことに触れてきましたが、今回はそれを体感してみようという旅でした。その成果は十分にあったと感じています。またおいおいいろいろな形で報告していきたいと思います。
今日はひとつだけ。ブータンは大きく西部と東部に分かれていて、言語的、文化的に大きく違います。政治経済の中心である西部ではチベット語系の共用語ゾンカ、東部人(シャチョップ)はツァンラカを話します。ゾンカでは「ゆっくり、ゆっくり」を「ゴレー、ゴレ」、ツァンラカでは「チャプテーン、チャプテン」と言います。一度目のゴレとチャプテンの語尾をそれぞれ長く引っ張るのがこつ。
みなさんの春がスローでありますように。 |