辻信一

2020年04月16日

追悼:C.W.ニコルさんとナマケモノ運動(番外編)

ニコル’s Barにてクラフトジン「こころ」にサインをするニコルさん(2018年夏至)

ナチュラリスト、作家として活躍、長野県黒姫に「アファンの森」をつくり、森づくりを通して、子どもたちの未来、そして地域再生へと想いを紡いでいたC.W.ニコルさんが、4月3日、79歳で永眠されました。

ご冥福をお祈りするとともに、ナマケモノ倶楽部での交流からいただいたメッセージを、みなさんと一緒に振り返ることで、少しでもニコルさんに恩返しできたらと思います。
(前編はこちら、後編はこちらをご覧ください)

=============

カフェゆっくり堂の入り口には「ニコル’s Bar」の看板
ニコルさん自らジンを作ってくださいました!

2018年6月23日夜、キャンドルナイト夏至の夜に横浜戸塚のカフェゆっくり堂で開催された「ニコル’s Bar」。ニコルさんが辻さんに、「ぼくが行くならバーもやりたいからね」と話をもちかけてくださったことで、実現したスペシャルな機会です。

当日はニコルさん自らカウンターでお客さんにクラフトジンを作ってくださる場面も。クラフトジンを片手に伺ったニコルさんと辻さんの会話の中から、いくつかの言葉を紹介させていただきます。

=============

ニコルさんと辻信一さん(左)

黒姫での自然体験がクラフトジン誕生の原点

辻:ニコルさんのクラフトジン「こころ」。これはどういう風に生まれたんでしょうか?

ニコル:私の甥のジェームスは若い銀行マンで、スコットランドのエディンバラに住んでいます。彼が8歳の冬、1か月間、黒姫に滞在したんです。

ある日、「ジェームス、山に行こうか?」と彼を誘い、かんじきを履いて出かけました。ティピで3日間、彼と犬と一緒に過ごしたんです。外の雪は4メートル。でも、ティピの中は囲炉裏があって、毛皮とかシュラフとかで暖を取りながら、いろんな話をしました。すごくよかったんです。

電気の全くないところで、ぼくは野生のウサギをとったり。鳥の声が聞こえたりね、彼にとってすごく印象的な時間を過ごしたわけ。ジェームスは40歳を過ぎてもそのことを忘れてなかった。

それで、4年前に再び彼が日本に来たとき、こう言ったんです。「これからジンが流行るから、おじさん、日本のタッチがほしい。何か美味しいものはないか?」

ぼくは「ここ(アファンの森)の青山椒を入れたらいい」と答えました。青山椒は、香りはあるけど味はないんです。だから、他の味を活かす。他のものを入れることで、ぴりっとして美味しくなる。

辻:へえ!

ニコル:ぼくが森を歩いてて、これから湧き水のところに行こうと思ったら、5分くらい前から青山椒をかんで、口の中をピリピリさせるの。そうしてから山のおいしい湧き水を飲むと、シャンパンのような味がするんです。

ポスター右に写っているのがニコルさんの甥、ジェームズ・ニコルさん。
ボトルの封印には「森の魂」の文字。

ニコル:それで、彼がクラフトジンをつくってね、今、けっこう売れてるの。一流の英国レストランとか日本のレストランで使ってもらっています。日本の食事に合うんですよ。

辻:それは山椒のせいですか?

ニコル:そうだと思います。ドバイ、香港、シンガポール、カナダ、先月から日本でも販売してる。ぼくはアドバイスだけで、商売は甥がやってます。彼との約束は、日本で売れた何パーセントかを森に返すこと。ぼくは飲む専門(笑)。

熱量たっぷりに話してくださるニコルさん

自然からの小さな喜びは、私たちをやさしくしてくれる

辻:ぼくが昨日お話を伺って感動したのは、アファンの森を個人の所有ではなく、法人化した点。なかなか日本の中にそういう発想はないと思うんです。 これからアファンの森はどういう役割を果たしていくのでしょう?

ニコル:人類は自然をどんどん破壊していて、 今も続けているわけです。でも同時に、私たちには自然の傷を治す力もあると信じています。

辻:人間が自然の再生のために貢献できると。

ニコル:はい。ぼくが生まれた南ウェールズは産業革命以降、自然がすごく破壊されて、川も汚染され、地滑りなどの災害も起きました。

1960年代に、学校の先生たちが呼びかけて「自分のたっているところを愛そう、未来を信じよう、人と一緒に何かいいことをやろう」と、子どもたちと炭鉱採掘ではげ山になったところに木を植え始めたんです。それが大きな運動になって3万ヘクタールの森によみがえり、ついには国立公園に指定されました。その公園の名前がアファン。ウェールズ語で「風が通る谷間」という意味です。

辻:風が通る谷間。

ニコル:日本でも大規模な伐採による地滑り、洪水といった自然災害が起きているのを見て、ぼくは小さくてもいいから森をつくろうと決めた。

辻:その森にアファンと名付けたんですね。未来を信じると。

ニコル:今、南ウェールズの森林面積は60%です。川にはサケやイワナ、カワカラス、カワセミなど自然が戻っています。

辻:そういう意味では日本にも希望はあると。

ニコル:どんな国よりも希望はあるはずです。黒姫の小さな森でもクマが来ます。20年続けてフクロウも来ます、今年はフクロウが4羽育ったんですよ。 絶滅危惧種の59種が我々の小さな森に戻っています。
自然からの小さな喜びは、重なると大きな喜びになります。私たちは自然からの小さな喜びでやさしくなれるんですよ。

辻:それが本当の豊かさですよね。

ニコル:森を取り戻すには長い年月がかかります。毎年、木に年輪ができるでしょう?少しずつ、少しずつよくなるんです。ぼくはそれを信じてやっています。

リラックスした雰囲気で話をされるニコルさん

海の栄養は森の栄養になる

辻:サケをとって森の中に置いてくるという話をもう一度していただけませんか? デヴィッド・スズキと三人で会った時にも、あの話で盛り上がりましたよね。

ニコル:4年前に亡くなった義理の息子は、カナダでサケが戻れるようにと、川の再生に取り組んでいました。ひどい森林伐採のために砂利が川に流され、土砂でいっぱいになったのを直す仕事です。それを取材してテレビ番組を作るために、私もカナダへの撮影に一緒に行きました。

クマは個別で行動する動物ですが、サケが上るときだけはクマもたくさん集まるんです。彼らも自分の好きな漁場があるの。でも、周りにクマがいると自分の捕ったサケを落ち着いて食べられないから、100メートル以上離れた場所にもっていって、柔らかいところから食べ始めます。

ところが、食事の途中でも、他のクマが自分の場所で漁をしているのを見つけると、食べかけをぽいっと捨てて、すぐに川に戻る。その行動パターンを計算すると、クマ一頭あたり、800匹くらいの食べかけのサケを捨てていることになるそうです。
その捨てられたサケは、どうなると思いますか?

サケの産卵期の森の中で深呼吸はやめたほうがいいよ。くっさいの。捨てたサケにはウジがいっぱい動いている。それを狙って鳥もいっぱい来ます。こうして海の栄養が森の栄養になります。そして、山のミネラルがまた海に流れていく。

辻: ぼくもカナダで見た、サケが遡上する光景は忘れられないですね。森の陰からのぞくと、もう大パーティ! ありとあらゆる動物が集まってね。

デヴィッド・スズキに聞いたんですが、そのウジが蠅として飛び立つところがまたすごい。一挙に羽化すると黒い煙のよう。するとちょうどそれを見計らったように、渡り鳥がやってくる。それを餌にして、元気になってまた次の場所に飛び立っていく。これが寸分の狂いなく、毎年行われてきたっていうんです。
その奇跡的なサイクルが、今、気候変動で崩れはじめているわけですね。

What are we gonna leave?ー私たちは何を残すのか?

ニコル:私にも孫がいます。神様のいたずらかもしれませんけど、この「青い目の赤鬼」が日本で森をつくっている。
その私が、「What are we gonna leave? 」何を残すのか、これからどんな自然を孫に残していくのかと、最近、そのことをよく考えるんです。 

2016年冬、約束していたのに戸塚に来れなかったのには理由があります。病気になって大きな手術をした。もう大丈夫なんですが、そのときに色々考えました。

今までに本を出したり、美味しいウィスキーを出したりしました。それはそれでいい。でも、それより、小さな森、小川ひとつでも残せたらいいなと。それならぼくがティーンエイジャーのときに会ったシャーマンにも、「まあまあがんばったな」といってもらえるかなって。

辻:何を残せるのか、この問いは胸に響くなあ。

ニコルさんは、アファンの森を自分の所有にしないで、それを手放している。でもそれは無関係になるということではなく、それを関わり、育て、残していくということです。

ニコル:ぼくは日本にお返ししたかったんです。そのほうが幸せです。だって、もともと日本の大地はクマの森、フクロウの森だったから。

私が日本人というとき、ただ人間のことだけを考えるわけではありません。クマもキツネもフクロウも、それも含めた日本だと思っています。

国を愛することは大地を愛すること。だから、流れる川を汚しちゃダメなんです。空気もそう。もともと日本人の心にはその大地を愛する気持ちがあると、私は信じています。

==============

ニコルさんからいただいた言葉を大切に、これからも、森を守り、私の中にある森を育てていこうと思います。
謹んでご冥福をお祈りいたします。(ナマケモノ倶楽部事務局)

C.W.ニコル アファンの森財団 https://afan.or.jp/  
C.W.ニコル 自然再生基金 https://afan.or.jp/cwnicol-memorial-fund/

著書にサインをするニコルさん
2020年04月14日

追悼:C.W.ニコルさんとナマケモノ運動(後編)

2018年夏至、ニコルズBarでカウンターに立つニコルさん

ナチュラリスト、作家として活躍、長野県黒姫に「アファンの森」をつくり、森づくりを通して、子どもたちの未来、そして地域再生へと想いを紡いでいたC.W.ニコルさんが、4月3日、79歳で永眠されました。
2018年6月22日、23日に横浜戸塚で開催されたキャンドルナイト夏至でのニコルさんの言葉をみなさんと一緒に振り返ることで、少しでもニコルさんに恩返しできたらと思います。
(前編はこちら

================


学生チームで企画制作したキャンドルナイト2018夏至ポスター。
テーマは「We the Forest, Forest in Me」

キャンドルナイトにニコルさんをお迎えして

2018年6月22日(金)、横浜市戸塚に400年続く浄土真宗本願寺派善了寺本堂にて、「キャンドルナイト夏至2018」が開催されました。辻信一ゼミ3年生たちが考えたテーマは、「We the Forest, Forest in Me-私たちにとって森とは?」。

黒姫からアファンの森の活動に取り組むC.W.ニコルさん、北海道二風谷(にぶたに)でアイヌ民族として森の再生に取り組む貝澤耕一さん、パタゴニア日本支社長(当時)の辻井隆行さん、音楽に瞑想のピアニストとして国内外で活躍されるウォン・ウィンツァンさんをお迎えしました。(イベント概要はこちら

対談もとても深い内容だったのでまた別の機会にシェアしたいと思いますが、ここではニコルさんの言葉を中心にみなさんと分かち合いたいと思います。

辻さんと明治学院大学のゼミ生たち
成田住職による平和法要

=================

木は、光に向かってお祈りをしている

ニコルさんの特別メッセージ

ニコル:森がなかったら文明はないですね。山があって、森があって、いい水がある。今の私にとって森は癒しの場所です。

ある老人に言われたんです。「見てごらん。木はみんな、光に向かってお祈りをしている。」その光の力をいただいて、人間は酸素を吸って生活をし、材木をつくって海に繰り出している。ぼくは森がすべてだと思います。

辻:ニコルさんの「日本を愛している」という確信ていうのかな、ゆるぎない言葉を聞くと、本当に心を揺さぶられます。そのときの日本は森の国なわけです。

ニコル:日本に何種類の木があるか知ってますか?
アメリカ全体でもともと490種類。日本は少なく見ても1300種。日本はこんなにも森の多様性が豊かなんです。

辻:気候変動でこれからどうなるかわからないけれど、この国は、それをレジリアンスで、 しなやかな強さで乗り切っていく潜在的な力をもっている、そういう恵まれた国ということですね。 

ニコル:ぼくは開発じたいは反対じゃないです。ただ、開発が自然と文化を壊すならば、それは建設ではなく「破壊」ではないかと思います。

森をイメージしたキャンドルアート

自然との遊び方がわからない子どもが増えている

ニコル: Children needs to play、子どもは遊ばないとダメ。子どものとき、森とどのくらい深い関係を作れるかがとても大事です。今、西洋では子どもたちの「自然欠乏症候群」が心配されています。自然との遊び方がわからない子どもが多い。

辻:さっきニコルさんが言われた自然欠乏症候群ですが、世界中でこの言葉が大事なキーワードになっているのに、日本ではなぜかこの言葉がぜんぜん広まらないですね。

ニコル:どういう症状がでるかというと、まず、子どもがすぐキレる。友達が作れない。よく泣く、騒ぐ、転ぶ。転ぶとケガをする。大人になると、判断力が遅い、鈍い。友達ができない。いちばん悪いことに恋愛ができない。

辻:人を愛することができない。 いま現代文明が、いちばん基本的なところから崩れているな、と思います。森を破壊することは、ぼくたち自身を破壊することになってる。

でも逆に、ニコルさんがやっているように、森を育てれば、「森が我々を育ててくれる」ということですね。

進行役をつとめる辻信一さん(左)
戸塚で農作業に取り組む学生たちのブース

私たちは木登りというDNAを持っている!

ニコル:木登りを研究して博士になった私の友人、ジョン・ギャスライトは、木登りをしている子どもは、すごく落ち着いて安心感がある子と言います。これは、ぼく自身も子どもの頃、木登りをして感じたことです。あまりに上りすぎると、アドレナリンが入って興奮しちゃうけど。

自然の中にいると、人間の脳はα状態になります。とくに背後を大きな木とかテントに守られていると、人の話をよく聞くことができる。焚火を見ていたり、小川の音を聴くともう、ほっとしますね。私たちには木登りや自然とともにありたいというDNAがあるんです。

辻:今日のタイトル「Forest in Me」は 学生たちが考えてくれたんですけど、森は我々の中にまだある、そこに希望があるということですね。

消灯後のキャンドルトーク
ウォン・ウィンツァンさんによる、キャンドルナイトコンサート

=======

2日目夜は、ニコル’sBAR開催!

翌土曜日も雨のなか、キャンドルナイトトークとマルシェが開催され、夜には、辻さんたってのリクエストで「ニコル’sBAR」が一晩限りでオープンしました。そこで伺ったニコルさんのお話も素晴らしいので、前編・後編に続く番外編として、お伝えします。ご期待ください。

2020年04月09日

追悼:C.W.ニコルさんとナマケモノ運動(前編)

2018アースデイ東京のメインステージで話すニコルさん。撮影:辻信一

ナチュラリスト、作家として活躍、長野県黒姫に「アファンの森」をつくり、森づくりを通して、子どもたちの未来、そして地域再生へと想いを紡いでいたC.W.ニコルさんが、4月3日、79歳で永眠されました。

ご冥福をお祈りするとともに、環境=文化運動ナマケモノ倶楽部の活動初期より交流を持たせていただき、様々なムーブメントを応援いただいたことを、みなさんと一緒に振り返ることで、少しでもニコルさんに恩返しできたらと思います。

========================

昔の日本人にみる、ちょっとしたやさしい心づかい

NGOナマケモノ倶楽部(通称ナマクラ)の設立が1999年7月。2001年アースデイ東京で、辻さんとニコルさんが森づくりのトークでご一緒させていただくなかで、「ナマケモノ倶楽部」という活動について辻さんからニコルさんにお伝えしたのだが最初と思います(たぶん)。その後、スロー運動の広まりとともに環境イベントでご一緒する機会も多くなりました。

南米エクアドルの先住民族に伝わる民話「ハチドリのひとしずく」。大きな森が山火事にあうなか、たった一羽の小さなハチドリがくちばしで水を運ぶ様子を描いた、たった16行の物語。震災以降も多くの方に勇気を与えるお話として各所でとりあげていただいてます。

実は、このお話は、エクアドルの先住民族キチュアのアルカマリさんから2001年秋(911同時多発テロの直後)に聞いたお話をもとに、地球温暖化防止を訴えたブックレット『地球の冷やし方ー私にできること』として、ナマクラがたちあげた自主メディア「ゆっくり堂」から2005年に刊行したものです。ワンガリ・マータイさんをはじめ、ニコルさんもとてもこのお話を気に入ってくださいました。

ブックレットには、著名人の「私にできること」として、セヴァン・スズキ、坂本龍一さん、枝廣淳子さんをはじめ、ニコルさんからもメッセージを寄せていただきました。ここに皆さんに紹介したいと思います。

ハチドリのお話は、私にツバメのことを思い出させます。私がはじめて来た頃の美しい日本は、ツバメを大事にする人々の国でした。家々の軒先はもちろん、家の中にまでツバメがたくさんの巣をつくって、まるで家族や友だちのように一緒に暮らしていました。害虫をたくさん食べてくれるツバメは、豊作をもたらす縁起のいい鳥で、人々はツバメが雨を運び、夏を運ぶものだと感じていたのです。

ところが今の日本人は、ツバメを嫌い、邪魔者あつかいにし、まるで天敵のように追い払おうとします。見た目に悪いとか、不潔だとかいって。かつての友人をこんなふうに冷たく扱う姿にぼくは、「新日本人」の心を見て、悲しいのです。

私は、ここ長野県黒姫高原で仲間たちと「アファンの森」という森をつくっています。そこにまた、鳥や虫や動物たちがたくさん集う日を夢見て。でも私は思うんです。 大切な自然を私たちが守れるかどうかは、自分の住む家の軒先をツバメに貸すという、ちょっとしたやさしい心づかいにかかっているのではないか、と。

C.W.ニコル

ご注文はこちら

===================

「経済」という名の鬼にとらわれて、人のいのちや健康さえも犠牲にしている

ニコルさんが敬愛する世界的な生物学者、デヴィッド・スズキ著『いのちの中にある地球』(NHK出版、2010年)

「環境問題とは私たちの暮らし方=文化の問題である」という思想は、文化人類学者の辻信一さんがカナダ先住民族や世界的な生物学者で環境運動家のデヴィッド・スズキさんから学んだ態度です。

そのデヴィッドさんが2009年、カナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学で行った最終講義を翻訳した『いのちの中にある地球』が2010年、NHK出版より刊行されました。カナダではテレビキャスターを長年つとめ、国民的人気を誇るデヴィッド・スズキ博士ですが、日本では、1992年リオ・サミットで「伝説のスピーチ」をしたセヴァン・スズキのお父さんと紹介したほうがわかる方もいるかもしれません。

カナダ環境庁でも仕事をされていたことのあるニコルさんにとって、デヴィッド・スズキ博士は敬愛するレジェンドの一人。デヴィッドさんの最終講義を日本で出版するにあたり、「まえがき」をぜひニコルさんに書いてほしいとお願いしたところ、すぐご快諾いただき、日本への愛情あふれる力強い文章をいただきました。その一部を紹介させていただきます。

 はじめてスズキ氏のドキュメンタリーを見たのは、日本での勉強を終え、カナダ環境省の仕事でカナダに戻った1970年代のこと。それ以来ずっと、私は、数多い彼の著作やドキュメンタリー映像の熱心なファンだ。(略)

 この本は、日本人にとって極めて重要な本だ。自然を崇め守る古来からの日本の伝統文化は、失われてしまったかに見える。変化に富んだ長い海岸線、多くの火山、豊かな雨、目をみはるような生物多様性、国土の60パーセント以上をおおう森林、教養ある国民、そして高度に進んだ技術。これらの恵みをもつ日本は、環境保全と持続可能な暮らしづくりの分野で、世界のリーダーであってもおかしくない。しかし、残念ながら、現実はそれとはほど遠い。

 スズキ氏が指摘するとおり、地球は有限なものであり、成長することはできない。そして、経済はこの地球の一部であり、生物圏なしには存在しえない。水、空気、食べもの、エネルギ―、木材などを得られる場所は地球のほかにないのだから。とすれば、経済の無限成長などというのが、妄想じみた絵空事でしかないことは明らかだ。(略)

 私たち日本人はあまりに長い間、自国だけでなく他国の自然資源まで浪費してきた。たくわえも底をつこうとしている。「経済」という名の鬼にとらわれて、人のいのちや健康さえも犠牲にしているではないか。あと何人の自殺者をだせばいいのか? 空気や水や土や、そして食べものを汚染して、いったいあとどれだけ自分たちの子や孫の健康をおびやかすつもりなのか?(略)

 クマを撮影するためにカナダ西海岸を旅行中に、私はスズキ氏に会ったことがある。ポートハーディからバンクーバーへの飛行機のなかでも、彼と話す機会があった。また、東京でのアースデイ公開シンポジウムで、スズキ氏とともに、本書の翻訳者でもある辻信一氏に会えたのも幸運だった。それはまるで古い友人たちの再会のようだった。

C.Wニコル

>>『いのちの中にある地球』ご注文はこちら

=====================

アファンの森での、ニコルさんとのひと時

2016年4月、アバンティ渡邊智恵子さんと訪れた、アファンの森での贅沢な午後。

アースデイ東京の実行委員長を長年つとめてこられたニコルさんと、毎年4月にお会いするのを楽しみにしていた辻さん。

2016年春には日本でオーガニックコットンを広めるアバンティ渡邊智恵子さんに誘っていただき、黒姫のアファンの森にニコルさんを訪ねる機会に恵まれました。そのときの様子を、辻さんがフェイスブックでコメントされています。

雨が降り始めたら、ニコルさんが、挨拶でもするみたいに気取りなく、雨の歌を歌い出した。寒くなるとすぐに暖炉に火を起こしてくれる。その暖かさにくるまれて、渡邊智恵子さんと対談。アファンの森の贅沢な午後 。(辻信一)

>> 「渡邊智惠子の「22世紀に残すもの」」(全3回)はこちら

=============

キャンドルナイトにニコルさんをお呼びしたい!

学生メンバーが企画したキャンドルアート。2016年冬至
2016年キャンドルナイト冬至ポスター。(当日はゲスト変更で実施)

2001年5月、アメリカ発、オーストラリア経由でナマケモノ倶楽部に回ってきたのは、夏至の2時間、でんきを消そうという自主停電運動。そのあと、仲間たちと「100万人のキャンドルナイト」を立ち上げ(2003年夏至)、環境省のライトダウン運動とも連動して、誰でも始めることができる日本独自の環境ムーブメントへと広まっていきました。

100万人のキャンドルナイト実行委員会は2013年に発展的解散をしましたが、ナマケモノ倶楽部では、そのあとも夏至と冬至の年2回、「でんきを消してスローな夜を」を掲げて、トークや音楽、マルシェを行っていました。

「ニコルさんをいつかトークにお招きしたいね」

そんな話が現実になったのが、2016年冬至のキャンドルナイトin戸塚。「美しい日本(くに)って?」をテーマに、ニコルさんに森のお話をたくさん伺おうと、明治学院大学の学生さん、とつか宿駅前商店会、ナマケモノ倶楽部とも張り切って準備をすすめていました。

ところが、開催1週間を切った午後、マネージャーの森田さんから、ニコルさんが体調を崩され救急搬送されたと連絡をいただきました。幸い、大事には至らなかったものの、翌週の東京出張は取り消しとなり、その後、夏至・冬至とご都合があわないながらも、いつもナマケモノ倶楽部を気にかけてくださっていました。

そして、一年半越しになる2018年夏至、ついにニコルさんをお迎えしてのキャンドルナイトが実現することになったのです!(後編につづく)

エコ建築の善了寺本堂にてトークするニコルさんと辻さん(左)。2018年夏至
2019年10月03日

「しあわせの経済」国際フォーラム2019 in横浜戸塚~グローバルからローカルへ~

\国内外のローカリゼーションの運動家たちが一堂に集結し、基調講演、分科会、音楽ライブ、マルシェを実施!/


どうしたら、世界はもっと幸せな場所になるでしょう?

私たちはこう考えています。数々の危機がつながっているように、それを解決する方法もまたつながっています。そして答えは今までとは根本的に異なる考え方の中にある、と。

まずは、自分たちが自然界の一部であり、自然に支えられてこそ生きられる存在であることを思い出すこと。そして、自分たちがいかに切実にコミュニティを必要とする存在であるか、ということに気づき直すこと。

今こそ、私たちの経済活動をグローバルからローカルへと大きく転換し、経済という仕組みそのものを、もう一度自分たちの手に取り戻す時です。

ローカリゼーションは、壊れかけた住民同士のつながりを、また人間と自然界とのつながりを修復する役割を果たすでしょう。こうしてよみがえるつながりは、私たちの幸せな人生のためばかりではなく、私たちの生存のために不可欠なのです。-ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ&辻信一


≪3分でわかるローカリゼーション≫

=========

≪日時≫
2019年11月9日(土)10:30~18:00
2019年11月10日(日)10:00~17:30
両日とも開場は開演30分前


≪会場≫
明治学院大学・横浜キャンパス
JR、市営地下鉄ブルーライン戸塚駅東口よりパス10分「明治学院大学南門」下車
https://www.meijigakuin.ac.jp/access/


≪参加費≫
2日間通し券 ¥2,000、学生¥1,000
※前売り券は下記Motion Galleryからお申込みいただけます。
https://motion-gallery.net/projects/EoH2019

≪公式サイト≫
プログラムは下記HPにて順次更新中!
http://economics-of-happiness-japan.org/


≪お問い合わせ≫
「しあわせの経済」フォーラム2019 in 戸塚 実行委員会 事務局(ナマケモノ倶楽部)
〒244-0002神奈川県横浜市戸塚区矢部町125善了寺気付
Tel/Fax:045-443-5954
E-mail:info@sloth.gr.jp


主催: ローカル・フューチャーズ、「しあわせの経済」フォーラム2019 in 戸塚 実行委員会
共催: 明治学院大学国際学部付属研究所
特別協賛:株式会社ウインドファーム学校法人 自由学園城南信用金庫一般社団法人 日本社会連帯機構日本労働者協同組合連合会(ワーカーズコープ)センター事業団パルシステム生活協同組合連合会生活協同組合パルシステム東京


実行委員会構成団体:(2019/8/26時点)
アズワンネットワーク鈴鹿コミュニティ/株式会社ウインドファーム /特定非営利活動法人えこびれっじネット日本GEN-Japan/オールジャパン平和と共生/特定非営利活動法人カフェ・デラ・テラ/特定非営利活動法人グリーンズ/国際環境NGO 350.org Japan/幸せ経済社会研究所/特定非営利活動法人ジュレー・ラダック/城南信用金庫/特定非営利活動法人セブン・ジェネレーションズ/善了寺/種まき大作戦 実行委員会/TPP違憲訴訟の会/東京アーバンパーマカルチャー/特定非営利活動法人トランジション・ジャパン/環境=文化NGOナマケモノ倶楽部/一般財団法人22世紀に残すもの/一般社団法人日本社会連帯機構/日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会/パルシステム生活協同組合連合会/生活協同組合パルシステム東京/自由学園生徒有志/みらい麦畑計画/武蔵野大学環境学部明石修ゼミ/明治学院大学国際学部辻信一ゼミ



2019年10月03日

10/18(金)四井真治 with 辻信一 いのちの仕組みから考える未来の暮らしと文化~日本のパーマカルチャーを考える~


\ パーマカルチャーデザイナー四井真治さんが、戸塚に!/


長年、同じエコロジーという活動分野にいながら、なぜか一緒に活動する機会がなかった二人が、ついに意気投合。

11月の「しあわせの経済」国際フォーラム2019でも登壇いただく四井さんに、私たちの暮らしのあり方とこれからについて、いのちの仕組みからたっぷり語っていただきます。
貴重な機会です。ぜひお集まりください。

ご来場、お待ちしています!

=========

日時:2019年10月18日(金)19時~20時半(開場18時)

会場:カフェゆっくり堂
  (JR戸塚駅東口より徒歩7分、善了寺境内)

ゲスト:四井真治さん(パーマカルチャーデザイナー、山梨県北杜市在住)
聞き手:辻 信一(環境=文化運動家、明治学院大学教授)

参加費:1000円+カフェでのワンオーダー

★★当日は四井さんの戸塚来訪を祝して、木古庭ノ農芸社さんによるイベント限定プレート1200円(要予約)を数量限定でおだしします。前日17日夜までにinfo@sloth.gr.jp まで、お名前・個数・ご連絡先を添えてお申し込みください。 ★★

写真はイメージです

お申込み:お名前、人数、ご連絡先、ひとことを添えて
  ナマケモノ倶楽部 info@sloth.gr.jp までお申し込みください。

共催:ナマケモノ倶楽部、NPO法人カフェ・デラ・テラ
協力:カフェゆっくり堂



1 / 1812345...10...最後 »
Page Topへ