韓国スローツアー【後半】:生命平和は海を越えて

2015年01月22日

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こんにちは、事務局の大澤です。

ファンさんのツアーも残すところあとわずか。
残りのツアースケジュールはこちらです。
ファン・デグォンさん来日!Life is Peaceツアー2015~GET DIRTY!土へ!
http://www.sloth.gr.jp/events/hwangtour2015/

もしも、「都合が合わなかった」という方や、「お会いしたのをきっかけに上映会を開きたい」と思った方、全国で自主上映会<スロー・シネマ・カフェ>を展開しています。詳しくはこちらをご覧下さい。
●全国の上映スケジュールはこちらより
http://www.sloth.gr.jp/movements/slowcinema_list/
●上映会をしたい!と思った方はこちらへ
http://www.sloth.gr.jp/movements/slowcinemacafe/

さて、ナマケモノ倶楽部では昨年秋に韓国へのスローツアーを行いました。前半のツアーレポートでは、百済と日本の歴史や天日干しの塩田、セウォル号事故追悼、宿坊体験、自給自足の生活をしているご夫妻について触れました。

後半は、ファンさんの生命平和村訪問、任実チーズ村、坡州タイポグラフィー学校(PaTI)への訪問、韓国でナマケモノ倶楽部と同じく15年間環境問題について取り組むKWEN(韓国女性環境ネットワーク)主催『ヴァンダナ・シヴァ-いのちの種を抱きしめて』の上映会の様子をご報告します。

3日目、ペダル&ハウルさんのおうちを訪ねたあと、韓国最古の寺・佛甲寺でファンさんと合流。
佛甲寺までは大きな公園になっていて、山登りとピクニックを楽しむ人で賑わっていました。(韓国の方は山登りが大好きだそう)またバスに乗って数時間移動し、美しい干潟に囲まれた百済仏教の渡来地へ。すっかり暗くなってしまいましたが生命平和村へ到着。

ここでは、生命平和村の方がお夕飯を作って待っていてくださいました。
この時ちょうど、一昨年からファンさんと活動を同じくしている方が開講している、地球旅行学校という校舎を持たず自分たちで師を探し訪ねる、オルタナティブスクールの10代の学生たち6名も生命平和村で実習を行っていました。(先生は人だけでなく、自然や動物ということもあるそうです!)
食事後は、テーブルを囲んでファンさんにお話を伺いました。

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<生命平和村でのファンさんのお話~生命平和運動と生命平和村とは~>

 生命平和運動は個体の生命の平和を追求すると同時に全ての生命達の平和を追及するという運動です。今まで平和運動と言えば、人間の平和だけを語ってきました。しかしそれでは真の平和は訪れることはないと思います。結局人が別の命を無視し、それらを破壊してきたから今このような生態系の破壊が起こっています。その結果として人間社会も壊れてしまっているのだと思います。真の平和のためには全ての生命の平和を求めなければいけません。人間中心の生命観から生命中心の生命観へ転換する必要があると思っています。そういう哲学をもとに若い人たちを訓練することもしています。

 でもこのような考え方、理念を持って暮らすことはとても難しいです。なぜならば外の世界は徹底してお金を中心にまわっているからです。そのような哲学を持っていると孤立してしまいます。ですから山の中にこのような共同体コミュニティを作りました。これは生存のためにも必要です。ここではまず自給自足を目標としています。我々もそのような哲学を世の中に伝える努力もしています。私がここに来て10年が経ちましたが法的な問題のためになかなか前に進むことができずにいます。なぜならばこの山全体が保存管理区域で開発が制限されているからです。家を思い通りに建てる事もできません。人々が集まって一緒に暮らしていくためには家を建てなければならないのですが、法的な問題のため難しい局面があります。そして10年目で初めて一件の建築許可を得ました。その建築工事が最近始まりました。
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 私はこのヨンガンではなく外からきた人間です。ですから地域の人たち親しくなるために地域の活動に一所懸命かかわっています。一番力を注いでいるのは反原発運動、女性運動です。「女性の電話」という民間のNGOがあるのですが、農村地域の女性達の権利を守る活動をしています。特に性暴力、家庭暴力から女性を守る活動をしています。

 ヨンガンには核発電所が6基もあります。韓国に核発電所がある地域は5か所ありますが、そのなかでもヨンガン地域の反原発運動が最も活発です。言い方を変えれば韓国の反原発運動の中心地であります。私がここに来る前からこのような伝統があった場所です。私はここにきて今代表者の役割をしています。とても責任の重い仕事です。でもそのおかげでこの地域の方々ととても親しくなりました。過去数年の間の活動を通して世界の反核史上初住民たちが核発電所の中に入って検証活動を一緒に行っています。

 それと同時にこの場所にエコヴィレッジを作るという努力をしています。村を一つ作るには少なくても一つの世代約30年過ぎて初めてできると思います。まだ初期段階だと思っています。
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(私たちは木や草、鳥、魚、動物など他の生命達すべてと繋がっていることを象徴する、生命平和のロゴ。)
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 そして、翌日ファンさんと現地で反原発運動をしている円仏教の方々とともに反原発パレードに参加しました。韓国語で「生命!平和!脱核!生かそう!生かそう!生かそう!」という掛け声をしながら歩きました。
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途中で皆さんと別れ、次は任実へ。少しずつ旅の終わりが近づいてきました。
任実チーズ村は、1967年宣教師によって韓国で最初にチーズが作られ、酪農とチーズの生産、チーズ体験や農業体験プログラムを通して村人が観光と自給自足の生活をしながら持続可能なライフスタイルを目指す村です。人口200名の村に年間に訪れる人はなんと、7万人!!実際ソウル市内の自然食品店でもここのチーズを取り扱っていました。
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村の運営は全て住民総会で決まります。例えば、2012年以降「観光客が多すぎて忙しい」と住民総会で議題に上がり、5万人まで受け入れようと決まったそうです。住民による、住民のための草の根民主主義モデルを実践しています。村の事業に参加し寄与分に応じて分配がありますが、都市勤労者の平均所得を上回る所得を実現しているそう。実際若者の就労者もいて、事業を始めるときには基金が活用されています。10~50代が65%、高齢者は34%です。高齢者で「体はちょっと動かなくなってきたけれど、もっと働きたい」という方には、観光客を村の中で案内するトラクターの運転手という仕事もあるそうです。
途中、「辻信一さんの本を読みました!」と話しかけてくださった30~40代位の男性は、元々教師でこの村に移住し、今は自宅の庭でセルフビルドした無人カフェ、村の人々が憩う東屋を村人と建てるなど村の共同体をつくる仕組みを色々と提案しているそうです。村の方針が書かれた看板には、かたつむりをシンボルマークに、「slowlife」や「福島を忘れない」という言葉が書かれていました。
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夜は辻さんも合流し、東屋で村長と住民の方とマッコリとチーズを囲んでお話をしました。

翌日、ソウルから一時間の坡州まで一気に北上し、タイポグラフィー学校(PaTI)を訪問しました。坡州は、1998年から工事が始まった、200余りの出版関係企業が集う都市です。私たちが訪問した期間はアジア最大規模のブックフェスティバル「パジュブックソリ」の期間中でいたるところに作品が置いてありました出版事業の効率化を目指し、出版、印刷、その材料となる紙などの企業が集中しています。他にも映画団地やギャラリー、図書館、コンベンションセンターといった設備があり、とてもおしゃれな都市の中心にPaTIはあります。PaTIの校舎はそのまち全体。出版都市計画当初からかかわった、タイポグラファー アン・サンス校長とお話しする機会をいただきました。開校にあたって、「新幹線から降りて、小さな車に乗って自分がゆっくりと運転するようだった」と表現したアン校長。「3H(Human,Hand,Hangeul)」を基盤に、ワークショップ、旅、セミナーなどを通して芸術を学ぶ学校です。「自ら学校をどうデザインするか」ということを教師と生徒がともに考え、詩、音楽、デザインの歴史や理論だけでなく、東アジア論(韓国人でなく東アジア人としてのアイデンティティを持つ)など人文学も学びます。2泊3日の演劇ワークショップなどのユニークな入学試験を受け、入学するとまず自分の机と椅子を作ります。次に、顔料を買いに行って、自分だけの絵の具とパレットを作ります。「ハングルは漢字が使えない農民や子ども、女性のために作られた言葉です。元々28字で構成されていて、それは星の数と同じなのです。「機能性だけのデザインではなく、暮らしに密着したデザイナーを育てたい」と語ってくださいました。

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一緒に旅に参加して下さり、ご自身も学長をされている汐見先生は、「最初につくられたイタリアのボローニャ大学は学ぶ場所も教室もないところでした。学びたいという学生が組合を作って規制の領主から逃れて組合を作ったのですね。その組合の事をユニバーシティといいます。組合のことです。その学生たちがこの先生に学びたいという人を呼んできて先生方に住んでもらって、こういう授業をやってほしいとそこで協議して教育が始まるのです。幼児が何も言わなくても積み木を積み上げる。それが美の出発点です。それが成長するうちにその子らしさというのがなくなってしまう。是非幼児や子どもにPaTIの生徒の作品をたくさん見せたりワークショップをしてちょっと面白い教育をして下さい。」とアン校長に仰っていました。
PaTIの周りには今後映画学校や音楽学校、伝統、技術学校ができるそうで、市民大学運動が盛んになってきているそうです。
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夜はソウル市内のソンミサンマウル劇場でKWENのメンバーの方々が主催した、ハングル字幕版「ヴァンダナ・シヴァ-いのちの種を抱きしめて」の上映会に参加。劇場には2階席もいっぱいになるくらい大盛況でした!

そのあとは、辻さんと韓国でKWEN事務局長イさん始め、自然農をしている方、マルシェを開催しそこで有機野菜を使ったカフェをしている方、スローフードコリアの方の公演を聞き、終了後は有機野菜を使ったご飯の交流会を開いてくださいました。
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「映画を受けて、種・土・水、そして人はつながっているのだと感じました」
「私はナウダーニャ農園へ行ったのですが、Seed to Seed.Farmer to Farmer.という言葉がたくさん書いてありました。今日映画を見て改めて、種も農夫の技術もお金で買うのではなく、人と人とで分かち合うものだと思いました。」といった感想や、「都市で農的な暮らしをどのようにしたらできるのでしょう?韓国では在来の種を育ててらっしゃる方もいます。まずは、そういう人から食べ物を買う、畑をする、ということもできますが・・・」という質問に対して、辻さんはこのように答えました。
「農はつまり食べること、それがコミュニティを育てること。都市でどうやって自給するか、1人ひとりで考えるから苦しいのだと思う。個人主義のマインドセットではなく、コモンズに属する。ぼくらは共有する土地がある、という意識が低すぎる。でも、そのコモンズの考えを僕たちが考える社会の真ん中に置く。水、空気はだれのものでもない。種もそうです。今は所有の対象になっている。それが今、資本主義の最後だと思います。水や種を商品化しなければ生きられないところまできてしまった。そのための手段がGMO。自給はコモンズを守り広げること。それは消費することではない。どんなに小さな規模でも種を蒔いて、家庭菜園もいいですね。自給というと大きく感じてしまうけど、小さくてもそれを実践して行動することが大切だと僕は思います。」

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今回、ファンさん以外の方からも「生命」と「平和」、「利益優先のシステムから降りる、自由でいる」という言葉をたくさん聞きました。
そして、日本も韓国もものすごいスピードで社会が変わっていて、それと同時にどう生きるかが問い直されているのだということも分かりました。

そして、それを1人ひとりが考えし、自分なりに表現してゆくこと。
思いから行動へ。

一週間という旅が無事終わりました。スタートはここから。これからも韓国と日本、ともにスロームーヴメントを発信して行けたらと思います!

今回、ファンさんの講演に参加してくださった方、そして参加できなくても同じ想いを持ってくださっている方、是非日本でも生命平和運動を発信してゆきましょう。

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