| 先日、お送りした竹富町の選挙の結果、何のことやらと思っている人たちもいるかもしれませんよね。あれは西表島で進んでいる大リゾート建設の行方を左右しうる重要な選挙でした。このリゾート建設に反対する運動が島の内外で起こっていて、ぼくも建設中止を訴える訴訟の「原告」になっています。リゾート建設を強行してきた現町長と町議会議長が敗退した今回の結果は、ぼくにとってはとてもうれしいものだったわけです。
ぼくの大学の同僚たちの案内でぼくが西表に最初に行ったのは確か11、2年まえのこと。デヴィッド・スズキ(セヴァン・スズキの父−−こんな紹介の仕方じゃ、デヴィッドに悪いけど)と一緒に書いた本『ぼくらの知らなかったニッポン』という本(英語のみ)の取材のために、彼とともに、島を代表する文化伝承者である石垣金星、昭子夫妻と愉しい時を過ごしたのが、もう10年も前です。金星さんは島唄、昭子さんは染織の世界で広く知られているので、御存じの方も多いと思います。ふたりはまた長年、エコツーリズムの日本における先駆けとしても活躍されています。日本でエコツーリズムといったら、まず西表、というくらい重要な存在です。また金星さんは「島の時間を大事大切にするスローツーリズム」についても提案しています。
(ぼくのソトコト連載対談を参照、また出版されたばかりのぼくの新著『スロー快楽主義宣言!』(集英社)でも「島という快楽」と題して、お二人のことを書かせてもらいました)
問題のリゾート開発は、地元の人々が苦労して創り上げてきたエコツーリズムの流れを無視して、沖縄の本土復帰以後、本土資本によって進められてきた沖縄でのリゾート・マスツーリズム乱開発をそのまま、最後の自然の宝庫とも言われる島に持ち込むものです。この島をフィールドに研究や調査を重ねてきた文化や自然科学の諸分野の専門家たちも、貴重な文化と自然を破壊するものとして、こぞって懸念を表明し、本土資本による強引で乱暴なやり方に意義申し立てをしているものです。ナマケモノ倶楽部のメンバーたちも、セヴァン・スズキとのツアーを組んだり、石垣夫妻が育てたコーヒーをインタグ・コーヒーとブレンドした「ワイルド・キャット・ブレンド」をつくり出したり、夏至のキャンドルナイトのエコツア−を組などして、リゾート問題への取り組みをはじめていました。
そしてこの8月半ば、ぼくはナマケモノ倶楽部の仲間でもある音楽家の坂本龍一さんと一緒にその西表を訪れる機会に恵まれました。石垣夫妻とも一緒に本当に愉しく、美しく、安らぎに満ちた時間を過ごすことができました。その旅について坂本さんが書いた文章を以下のサイトで見ることができます。
http://diary.nttdata.co.jp/diary2004/08/20040822.html
ぼくもまたその旅のことをゆっくり報告できる機会をつくりたいと思っていますが、この9月9日の石垣夫妻を東京に迎えての9イベントがその第一回になればと思っています。
皆さんも、西表という世にも美しい島と出会って恋に落ちて下さい。
辻信一 |