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辻信一
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世話人・辻信一のコラム


スロー・イズ・ヘビー

 こんにちは。辻信一です。2003年7月、ぼくの新しい本が出ました。弘文堂『スローライフ100のキーワード』です。大きめの書店にあると思うので手にとってみてください。そしてスロームーブメントに活かしていただけたら幸いです。カフェスローやゆっくり堂などでも扱ってくれているはずです。どうぞよろしく。

 100の中にはどんなものがるでしょう。ナマケモノ、エレファンティズム、ローソク、カフェスロー宣言、フェアトレードなどはもちろん、非戦、南北問題、地域通貨、老い、遊び、恐怖と安心、水、土、など最近の関心事もあります。たくさんのスロソファーも登場します。

 ぼくは最近、「雑」こそが21世紀のキーワードと言ってます。森林では「雑木」、生態系や農では「雑草」、食では「雑穀」、人間関係における「雑談」、自分との付き合いとしての「雑記」「雑念」、生活世界との付き合い方としての「雑学」。そんな雑なるモノやコトがなければ、ぼくたちの暮らしはずいぶんと寂しいものになるだろう。「粗雑」「雑駁」「雑多」「煩雑」「複雑」であることを許さない人生は空しいだろう。しかし、ぼくたちはこの数十年、効率化とか、経済効果とかということばに踊らされて、本当に大切なものを「雑用」とか「雑事」とかと名づけてさげすみ、貶めては、その寂しく、空しい方向へと自分自身を追い込んできたんじゃないのか、と。そんなことを書いています。

 ナマクラMLで「マイzoony」に関する紹介メールが飛び交っていますね。zoony。それはやせ我慢とは違うようですね。こっちの方が気持ちいいとか、楽しいとか、という感覚。エコの快楽。オーストラリアで2年前に習ったことば。Sustainable Extravagance(持続可能な贅沢)。引き算から生まれる楽しさ。そういうものを想像し、編み出していくのが文化力というものではないか。システムへの依存の度合いを減らしていく。それが実は個々人の能力を伸ばすことになったり、人間同士のつながりや信頼を育てることを意味したり。それがまた環境への負荷を削減し、自分たちの快適さとしてかえってくる。

 我が家で、あるいはぼく個人が日常的にやっているズーニーをちょっとあげてみます。車もたズーニー、テレビは一年限定ですが、見ズーニー、飲料の自動販売機使わズーニー、牛肉食わズーニー、割り箸使い捨てズーニー、コンビニ、ファストフード、エスカレーター、缶入り飲料などをなるべく使わズーニー。つらそうですか?部分的にはもちろん不満で不便な部分もあるけど、総体としてはずっと、楽しく気持ちいいです。ビールもビンの方がずっとうまいし、階段は運動不足解消にいい。

 ズーニーするために必要な道具がズーニー・グッズですが、ぼくは出かけることが多い(出かけズーニーすませるといいんでしょうが)ので、持ち物が多くなります。ぼくのカバンの中のズーニグッズとしては、箸箱、水筒、扇子、電池充電器、箱入りナマケ、折りたたみの傘など。ナマケモノ倶楽部の理事会などでいつも思うんですが、みんな荷物が多いこと! 理事諸君の最近の合言葉はSLOW IS HEAVYです。

 そういえばひとつお勧めしたいことがあります。2年前くらいかな、ある人が新聞の差込広告を断っているのを聞いて、ぼくはつい「え、できるんですか?」と言ってしまった。相手の女性(ちょっとこわいおばさん)は、「その<できるんですか>がだめなのよ。まずやってみなくちゃ。だいたいなんで新聞屋の言うなりにならなきゃいけないの」と。はい、全くその通りです、というわけで、うちでも頼んでみたら、あっさり次の日から、差込なくなりました。いやあ、ゴミがあれでずいぶん少なくなった。

 もうひとつ、キャンドルナイトの時、呼びかけ人になってくれた宇宙塵が「でも、電動の車椅子で動く自分たちには電気使わズーニーというわけにはいかないけど」というようなことを言っていたっけ。幼児、老人、身障者、男性、女性と人にはそれぞれの身体性があり、それぞれのズーニーがあることを忘れないようにしよう。

省エネキャンペーンを、原発運転再開、増設へと結び付けたい人たちの思惑に抗して、
辻信一

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