ニュースリリース・2005年12月7日
来年2月の冬季オリンピック開催地トリノのイタリア・アルプスでは、地球温暖化の影響ですでに大量の雪が解けはじめている。トリノ・オリンピック組織委員会(TOROC)は、こうした事態にもかかわらず、オリンピック競技にともない排出され
る二酸化炭素量(CO2)は少なくとも12万トンになることを発表した。11月27日にギリシャを出発したオリンピックの聖火は大会開催への灯りをともすだけではないようだ。この聖火、開催の灯火というよりは大気汚染という名の大火災をもたらすマッチそのものである。
TOROC環境対策委員会は、5年間の準備期間中、CO2排出量削減対策を何も実行してこなかった。ガソリン車の使用を禁止するどころか、オリンピック大会中の代替エネルギー源も十分に用意していない。ようやく大気汚染への影響を認識したときには、環境汚染緩和プログラムを代わりに導入した。HECTORという名のこのプログラムは、オリンピック大会中に会場付近で排出されるCO2を国内外でのさまざまなエネルギー事業によって相殺するというもの。大会中排出された二酸化炭素量の削減に合意した企業はオリンピック大会でクレジット(謝辞の名前表示)され、公式スポンサーと し
てTOROCに寄与することになる(詳細は、www.torino2006.org の「Torino 2006:With HECTOR the First Olympic Games With Neutral Impact」)。
こうした相殺の形がうまくいかないのは明らかである。似たようなプログラムが2002年のソルトレーク冬季オリンピック大会でも導入されたが、空は濃い黄色のもやで覆いつくされ、遠方のスポンサー(クレジット受領企業)にも関わらず、有毒な大気汚染が明らかに会場その場で発生していた。自動車の排気などオリンピック大会で排出されるCO2の多くは企業が排出するCO2とは異なるため、双方の価値に見合う目標を立てるのは難しく、意味がない。結局TOROCは汚染源としての責任を、信用できるかもわからない代役に回しているだけではないのか。
トリノ冬季オリンピックは、国際オリンピック委員会が発表した「スポーツ・健康のためによりよい環境を生み出す」という目標宣言に準拠する初の大会になるとされていた。国際オリンピック大会監視グループ「見張りの狐の眼」(Guard Fox Watch -GFW)から、汚染のない代替エネルギーの使用などの有効な解決策をとっていないと批判を受けると、TOROC環境対策委員会は、「そうした解決策については単に考慮しない」と答えている(詳細は、www.planetdrum.org の Guard Fox Watch)。
「情熱がここにある」(Passion Lives Here!)とは、トリノ冬季オリンピック大会の標語だが、母なる大地への愛情は残念ながらまったくないようだ。
【翻訳:たまきゆうこ】
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