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街のパン屋の想うこと“21世紀の初めだもの”

 初めて厨房でプンパニッケルの湯気まじりの香りに包まれた時、とても食欲には結びつかず、湯気のたつ繊維処理工場の中にでも入ったような感覚を持った。食べた時の強烈な酸味にも驚いたし、ネチネチした食感はメッコメシのようで妙な気がした。

 少しずつこのドイツパンの味に慣れたのはどうしてだろう。気がついたときには、頑固な味、複雑な穀物の香り、しっとりとしてホロリと崩れる食感がすこぶる好きになり、出来上がりのとても微妙な違いをはっきり感じるようになっていった。

 そりゃあ毎日パンを捏ねて焼いているのだもの、その位は分からなきゃプロじゃあねえよ。と思っていたけれど、このパンの裏側にある民族の伝統や文化が見え隠れする度に、作り続けた人々の努力が、このパンを好きにさせてくれたのだろうと思うようになった。

 頑固な味は、自然から生まれた酵母の力。穀物は豊かな大地と、輝く太陽の産物だ。パンに仕立て上げたのは、人が手と、火と、知恵を注いだ結果だろう。世紀を越えて、人は自然と融合し、民族の文化をじっくりと育て続けてきている。

 私たちの店は、民族の伝統という長大な時の流れは持っていないけれど、私たちが住むこの地の恵みを力とし、これからもパンを作り続ける日々を重ねることで、麦づくりから始まるパンの素晴らしさを、沢山の人々に理解してもらえるよう努力してゆこう。

 21世紀の初めだもの、これくらい考えとかなきゃあ。うん、プロじゃねえよな。

こなひき小屋 パン職人 木村

 

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