|
ナマケモノ倶楽部が設立されて以来3年間、親しく付き合ってきたエクアドル・コタカチ郡の住人たちは、発展とは「モノやカネを最優先する経済偏重ではなく、人間の生活の質を高め、心の豊かさを高めることである。子どもたちや未来世代にとっての生存基盤である環境を破壊したり汚染することは、持続可能ではないので、決して発展ではない」といっています。これまでの日本が進めてきた「発展」の歴史は、モノやカネを最優先し、環境を破壊し、汚染し(日本国内だけでなく、途上国の環境を破壊し、地球環境を悪化させてきた)心の豊かさを失ってきた歴史と言えないでしょうか。
ナマケモノ倶楽部では「スロー・イズ・ビューティフル」を合言葉にしています。
「スローとは、つながりを大切にすること」とも言っています。人と人、人と他の生物、今の世代と未来の世代、そういった「つながり」が希薄になればなるほど、心の豊かさも失われていっているのではないでしょうか。
ナマケモノ倶楽部に共感のメッセージを寄せてくれた生物学者で環境運動家のデヴィッド・スズキさんは、こう言っています。
「ひとは、この地球上での良き充実した人生を終えるにあたって、何を想うのでしょう。きっとそれは、自分が最も誇りに思い幸せに感じたこと。それは何?所有している高級車や、邸宅や、クローゼット一杯の服?いえいえ、そうではないはずです。思い出すのはきっと、自分の家族や友人達やコミュニティーの人々のこと。そして彼らと過ごした様々な時間。私たちの人生において重要なのはそういうことであって、どれだけ物をもっているかということではありません」
そして、こうも言っています。
「グローバル化で大騒ぎし、金儲けに忙しい私たちには、落ち着いてものを考える暇もありません。そこでは次のような重要な問いが忘れられています『いったいどれだけあれば充分なのか』、『幸せであるためには何が必要なのか』『これは、あれは、本当に必要なのか』『私たちはどこへ向かっているのか』そして『なぜ、私たちはこの地球に生きているのか』。スロー・イズ・ビューティフルをモットーとするナマケモノ倶楽部は、こうした問いをひとつひとつ問うために存在しているのだと思います。問われているのは生きる質であって、量ではありません。よりよい生き方を探し出すのがナマケモノ倶楽部の仕事です」と。
20世紀に、経済成長一辺倒で金儲けに忙しく「心を亡くしてきた」日本の社会の中で、「生活の質を高め、心の豊かさを高める」ことを私たちは、具体的にどのように進めていけばいいのでしょうか。永遠の「経済成長」、限度を知らない「便利さの追求」、そのことがもたらす自然の破壊や環境の汚染は、ますます悪化しています。多くの人が、エネルギーの使い過ぎ、化学物質の使い過ぎ、自然環境の破壊し過ぎであることを感じています。私たちは、そんな社会をどこから変えていけばいいのでしょうか。
ナマケモノ倶楽部では、使い捨て社会とエネルギー問題を解決していくための一つの方法として、「ZOONY運動」や「非電化・有機工業運動」などに取り組んでいます。私たちが「環境発明家」と呼んでいる藤村靖之さんは、「共感がエネルギーを生む時代!」と題したエッセイのなかで、「(共感がエネルギーを生む)もっと大きな理由は、『環境』と『子どもの安全』という、人類共通の課題の比重がますます大きくなるからです。地球温暖化をテーマとした京都国際会議で、若者たちの熱気が政治家を動かして、炭酸ガス削減目標を変えさせてしまった感動は記憶に新しいことです」と書きました。しかし、世界最大のエネルギー消費国であり、地球温暖化ガスの排出国である米国のブッシュ大統領は、その京都議定書に反対しただけではなく、景気をよくするためにどんどん発電所をつくっていくぞ、というエネルギー政策を発表しました。アラスカの野生生物保護区での石油、ガス開発や原発推進まで表明しています。
これに対して昨年、「6月21日(夏至)の夜の3時間、世界各地であらゆる電源を止め、暗闇の中で静かにエネルギーについて考えてみませんか」という自主停電の世界的な市民運動が展開され、ナマケモノ倶楽部もこれに参加しました。東京のカフェスローでは、それ以後、毎月「暗闇カフェ」を継続しています。
本日、ナマケモノ倶楽部の仲間である函館のピーター・ハウレットさんから、自主停電の呼びかけがなされましたが、私たち世話人も早速これに応え、環境問題に関心をもつすべての友人たちに改めてつぎのことを呼びかけたいと思います。6月21日の3時間の自主停電にとどまらず、個々人の創意工夫で、続く22日、23日も部分的停電や節電や夜のロウソク(低速)パーティを試みていただきたい。
そして23日には、カフェスローにおいて藤村さんをお迎えして、非電化をテーマに「アンプラギング・パーティー」を開きますので、首都圏にお住まいの方はぜひご参加いただきたい。非電化製品は除湿機をお披露目し、その他の掃除機、洗濯機などの開発状況について、藤村さんから話していただきます。
またこのパーティでは、ZOONY展が行われます。「大地を守る会」との共催で開かれるZOONY展では、「かつて、電気のない時代、電化製品のない時代に活躍していた「スグレモノ」が多数展示されます。また、北海道に続く「自然エネルギーの市民共同発電所計画」の発表も予定されています。
夕方からはチェルノブイリ原発事故による放射能で汚染された村で撮影された今話題の映画『アレクセイと泉』の本橋成一監督をお迎えし、ご自身のトークによるスライド・ショーをやっていただきます。また本橋さんと中村隆市との対談(司会、辻信一)もあります。どうぞお楽しみに。(www.cafeslow.com)カフェスローに来られない方も、それぞれの場所で、それぞれの仕方で、slowに、smallに、simpleに、しかし大胆に、アンプラギングをやってください。
アンプラグとは決してただプラグを抜いて節電することだけを意味するのではありません。それは同時に新しいつながりの発見を意味してもいるはずです。
2002年6月15日
ナマケモノ倶楽部世話人
(呼びかけ:中村隆市、賛同:辻信一) |