「緑色の未来」のために
エクアドル・アンデス山脈の西側斜面に広がる雲霧林地帯。その豊かな山々の懐に抱かれたインタグ地方で、今、画期的なプロジェクトが着々と進められています。エコロジカルなライフスタイル・モデルを創出し、それを地元の人々ばかりではなく、エクアドル全体、しいては世界中に指し示そうというプロジェクトです。
日本のナマケモノ倶楽部、オーストラリアの熱帯雨林センター、また、ますますその数を増しつつあるボランティアや個人賛同者の支援を受けて、「統合的エコロジカル・ライフスタイル・モデル
計画」(つまり”首尾一貫して生態系と調和している生活様式のモデルを示そう”という計画)が、一年かけて大事に育まれてきました。
その類い稀な生物多様性の豊かさで世界的に有名なコタカチ−インタグ地方は、地球上で危機にさらされている十大「ホットスポット」のひとつとしても知られ、今その自然の保全が強く求められています。この地方はまた、破壊的な産業開発−例えば鉱山開発−に対する激しい抵抗運動でも世に知られるようになりました。破壊的な開発行為をやめさせる一方で、それに代わって地元の人々の収入を増やし、かれらの生活の質を高めるための生態系にやさしい各種のプロジェクトが、地元の草の根の活動家の働きと国際的なネットワークのおかげで、大きな成果をあげています。
政治的な革新性においてもこの地方には目を見張るものがあります。毎年開かれる人民議会を通じて、コタカチ郡(インタグはこの郡の一地域)の全住民は直接地域の政治に参加し、政策づくりに関与することができます。この直接民主主義のプロセスが生み出した成果としてとりわけ重要なのは、この地域全体を「生態系保全郡」とするエコ自治体宣言でしょう。生態系の「宝石」ともいわれるコタカチーインタグ地方。人々は一連の厳しい環境保護条例を制定し、エコ自治体としての「緑色の未来」の礎をつくりました。
こうしたこれまでの取り組みをさらに前へ進めるために今もっとも緊急に必要とされているのは、地域の人々の間に、生態系についての理解、そして生態系と調和したライフスタイルを広めることでしょう。ほとんどの農民や入植者たちはいまだに、土壌侵食のおきやすい非常に傾斜の激しい斜面でわずかな作物を育てるために木々を伐採しては焼き払うという、ひどく破壊的な農法によって生活しています。エクアドルの他の危機的状況にある地域やすでに破壊されてしまった地域と同様、この地域でもほとんどの人々が持続可能な土地利用の方法があるということさえ知らずにいるのです。
答えを示す
インタグにおける「統合的エコロジカル・ライフスタイル・モデル計画」では、パーマカルチャーのデザインに基づく持続可能な農業と、簡単に真似できて費用も安く、生態系に優しい技術を組み合わせた、エコ・ライフの実例をみなさんに提供したいと思っています。その中には、コンポスト・トイレやシンプルな小規模水力発電、太陽熱調理器やドライヤー、そしてバイオガス高圧釜なども登場します。そこは国内外からのボランティアが集って、持続可能な生活を模索する地元の共同体の人々と共に教え合い、学び合い、実践する学校でもあります。パーマカルチャーによる農業を実践し、有機のノン・ハイブリッド種子を収集して地元の人々に提供することも計画していますし、現在保有している30ヘクタールのうち、以前の破壊的な利用で劣化している土地を植林によって再生していく計画もあります。ボランティアたちはこれらの活動に参加することができるばかりでなく、隣接する土地を共同で購入して、そこへとにプロジェクトの輪を広げていくのに貢献することもできます。
どこ?
オタヴァロ市(首都キトから2時間の商業都市)の中心街からローカル線のバスで2時間、プカラという小さな村(インカ以前の古代文明の遺跡のひとつで、あちこちに「トラ」と呼ばれるかつての聖なる塚が点在する)に着きます。そこからは350ヘクタールに及ぶ「ラ・フロリダ」雲霧林保護区を見渡すことができます。その方向に急斜面を歩いて下ること20分、プロジェクト用地の一方(低い側)の境界線をなしているトゥアブンチェ川へ出ます。アンデスに源を発しコタカチ・カヤパス生態系保護区へと至るこの清冽な川の流れこそ、わがプロジェクトの象徴であり、最大の魅力のひとつです。
プロジェクトの進行状況
2000年12月までに、プロジェクト用地の1ヘクタールほどの広さの土地に、色々な植物や果樹が植えられました。果樹や野菜だけではなく、800本のコーヒー苗も植えられています。これは日陰栽培で有機無農薬コーヒーを育てようというプロジェクトの一環で、日本の友人達から多大な支援を受けています。地元出身のルイス・イダルゴ(そしてその家族の皆さん、メルセデス、クラベルス、フェルナンド)がここの運営をまかされています。馬のヨギとロバのサビノがこの1ヘクタールの敷地内の草を食べてくれ、なおかつ畑のための肥料を生産してくれます。敷地内を流れる天然の小川からパイプが引かれ、家屋と畑には天然水がいつでも供給できるようになっています。在来種の木々や果樹を再植林するために、小さい温室が建設され、苗が育てられています。
母屋は半分できあがっています。サトウキビの葉を使った屋根を雨期が訪れる前に完成することができました。この円筒形の家は、なるべく地元でとれる材料(壁は泥、台所の床は石、屋根は草葺き)を使うという原則にのっとった「エコハウス」です。
コーマックは、この建設プロジェクトのためにわざわざアイルランドからボランティアとしてエクアドルにやってきてくれた人で、素晴らしい仕事をしてくれています。
また、日本からきたふたりのボランティアもこのプロジェクトを手伝ってくれました。タクとケンスケです。彼らはルイスと共に畑仕事をやってくれました。また、ニュージーランドから来たカップル、ハンスとミカエラは、オーストラリアからのボランティアであるシャインやシャノンとともに、パーマカルチャーの基本的なデザインをつくってくれました。
資金そして未来は?
このプロジェクトのお金の面でのやり方は、スモール&シンプル、つまり小規模で簡素に、費用が余りかからず簡単にマネできるしくみを作り出そうということです。ボランティア、特に適正技術を教えることができる人が特に求められています。是非参加してあなたの知識やヴィジョンを分かち合ってください。当初の土地購入は、日本のナマケモノ倶楽部のエコロジカルな仲間たちからの支援で可能になりました。熱帯雨林センターの実働メンバー兼プロジェクト・マネージャーのアニャ・ライトがこの間、(森林保護を訴えた彼女の歌のCDの日本での売り上げ金から)地元の労働者への賃金や家屋、設備建設のための資金を拠出してきました。
長期的な展望のひとつとして、この地を訪問してくれた人々の協力をお願いして、隣接の土地を購入してもらい、プロジェクト用地を徐々に拡大していくことを望んでいます。1ヘクタール約150米ドルから200米ドルといった額ですから、個々人が自分の意志で、貴重な雲霧林の生態系を守り再生するのに寄与し、それに連なっていくことを、比較的簡単に表現できる方法だといえるでしょう。近隣の住民たちはたいてい土地を売って都市部に出たがっています。この地域に残りたいという人たちもいますが、彼らは破壊的でない持続可能な農業に転換していくために、支援とアイディアを必要としています。わがプロジェクトに隣接する原生の雲霧林保護区「ラ・フロリダ」は地元固有の植物の種子の豊かな保管庫の役割を果たしています。この在来の植物たちには、かつて自分たちが自生していた土地を返して、と主張する権利があるのではないでしょうか?森の再生−−ここにこそ「統合的エコロジカル・ライフスタイル・モデル計画」の究極のヴィジョンがあります。
より詳しく知りたい方、ボランティア並びに訪問希望の方は下記までメールを。
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