日本のお母さんから、エクアドルのお母さん、そしてお父さんへ

2011年09月03日

2011年3月11日、東北地方を襲った大地震と津波の被害で、東日本は多くの犠牲者を出しました。その際、インタグから暖かいメッセージをいただき、地球の反対側に仲間が居る心強さを感じました。ありがとうございました。
ナマケモノ倶楽部メンバーでも一部、津波や地震の大きな被害を受けた人たちが居ましたが、みな、なんとか一命をとりとめ、地域の方々やナマクラ仲間も協力して暮らし、田んぼや事業の復興などに取り組まれています。

地震と津波で起きた原発事故が放射能汚染を引き起こし、半年過ぎた今も、未だ収束の目処が立たず、何百年先まで残る放射性物質を、壊れた原子炉から毎日まき散らし続けています。誰も止め方の分からない、人類がこれまでに経験したことのない事態に、一体どうして原発を容認してきたのか、もっと大きく反対の声をあげてこなかったのか、子どもたちや世界の生態系に迷惑をかけるこの事態を未然に防げなかったのかを自問する日々です。特に小さな子どもたちの発ガン率が心配されるなか、日本政府は、 被爆の恐れのある福島の子どもたちを避難させることもせず、それどころか、経済のために、まだ停止した原発を再稼働しようとしています。

そんな日本で子どもを持つ私たち母親から、エクアドルのみなさんに伝えたいことがあります。私たち人間にとって、子どもを愛する親にとって、健全な生態系、つまり、綺麗な水、空気、土より大事なものは、やっぱりありません。また、大地や海、そこからとれる食べものといった、身近ないのちを信じられなくなることほど、悲しいことはありません。そして、お金、経済のために、子どもたちのいのちを大事にできない大人たち、社会ほど、醜いものはないと思います。

豊かさとは、お金ではなく、自分の属する生態系の命を信じて、その恵みを周りの人と分け合えることではないでしょうか。みなさんのうちの多くは直感で、または歴史の中から、それを知っていて、そしてそのために行動していると思いますが、私たちは、このような事態になるまで、気づかないふりをして過ごしてきました。そしてついに元に戻せないところまできてしまいました。

私たちは、現在の日本の状況を、これまでの文明のあり方の崩壊、終焉だととらえています。世界では、各地で通貨危機が起き、有限な資源のなかで、これまでの経済やエネルギー消費では、どの社会も持続していけないことを、肌で気づき始めました。まず 自分たちがサバイバルするために、また、先の世代がこれからも地球で暮らしていくために、根底から社会を変える、今は最後のチャンスかもしれません。

3/11後の世界におけるリーダーとなる国は、エクアドルだと思います。「いのちの基盤である自然を第一とする世界のパラダイムシフト」をエクアドルという国が、リードしてくれるものだと、私たちは確信しています。そして、その過程では、この10年間のインタグ地方における闘いと成功が日本だけでなく世界中の多くのコミュニティを勇気づけるでしょう。鉱山開発を断り続け、持続可能な農業、換金作物と自給農の両立、エコツーリズム、という小さな、でも確かなモデル、代替案を一つひとつ擁立していく姿勢。それはコミュニティの再生を目指す日本の農村においても大きな道標となっています。インタグのような態度以外に、この文明の危機から立ち直る方法はないからです。

私は10年前、まだ学生の頃、日系企業の鉱山開発を追い出した、 フニン村に滞在しました。人びとは、森にコーヒーを植え、ツーリズムのトレイルを整え、コミュニティで話し合いを持ち、一つひとつ、仕事を作り出していました。その頃、村に電気はなかったけれど、ロウソクの光にあつまって家族が語り合い、仲間と語り合い、質の高い時間を過ごし、大事なものをまっすぐに守っていました。日本の社会はインタグに比べて、なんて貧しい社会なんだろうと、そのとき思いましたが、子どもを持った今、またそう思います。3/11以降、10年前に学んだことを、日本の農村で実践しようと、九州の最南端に移住してきました。ここで、これまで通りエクアドルとフェアトレードでつながりながら、自給自足を目指していきます。周囲の人々は、インタグの話を聞いて、大変感銘を受け、コミュニティを再生する勇気を得ているようです。

私たちは、日本の国の政治がどうあろうと、3/11以前のマインドセットには絶対に戻りません。そして社会を作り替えていきます。そして、そう思ったときに、世界の最先端である、インタグの鉱山開発への反対という選択をこれからも支え、応援していきたいと思います。

どうか、インタグの空気、水、土、そして子どもたちが、この先の未来、ずっとそのままであれるように、大人の力を尽くしてください。

2011年9月

ナマケモノ倶楽部共同代表  藤岡亜美

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