コラム一覧

2020年04月09日

追悼:C.W.ニコルさんとナマケモノ運動(前編)

辻 信一
2018アースデイ東京のメインステージで話すニコルさん。撮影:辻信一

ナチュラリスト、作家として活躍、長野県黒姫に「アファンの森」をつくり、森づくりを通して、子どもたちの未来、そして地域再生へと想いを紡いでいたC.W.ニコルさんが、4月3日、79歳で永眠されました。

ご冥福をお祈りするとともに、環境=文化運動ナマケモノ倶楽部の活動初期より交流を持たせていただき、様々なムーブメントを応援いただいたことを、みなさんと一緒に振り返ることで、少しでもニコルさんに恩返しできたらと思います。

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昔の日本人にみる、ちょっとしたやさしい心づかい

NGOナマケモノ倶楽部(通称ナマクラ)の設立が1999年7月。2001年アースデイ東京で、辻さんとニコルさんが森づくりのトークでご一緒させていただくなかで、「ナマケモノ倶楽部」という活動について辻さんからニコルさんにお伝えしたのだが最初と思います(たぶん)。その後、スロー運動の広まりとともに環境イベントでご一緒する機会も多くなりました。

南米エクアドルの先住民族に伝わる民話「ハチドリのひとしずく」。大きな森が山火事にあうなか、たった一羽の小さなハチドリがくちばしで水を運ぶ様子を描いた、たった16行の物語。震災以降も多くの方に勇気を与えるお話として各所でとりあげていただいてます。

実は、このお話は、エクアドルの先住民族キチュアのアルカマリさんから2001年秋(911同時多発テロの直後)に聞いたお話をもとに、地球温暖化防止を訴えたブックレット『地球の冷やし方ー私にできること』として、ナマクラがたちあげた自主メディア「ゆっくり堂」から2005年に刊行したものです。ワンガリ・マータイさんをはじめ、ニコルさんもとてもこのお話を気に入ってくださいました。

ブックレットには、著名人の「私にできること」として、セヴァン・スズキ、坂本龍一さん、枝廣淳子さんをはじめ、ニコルさんからもメッセージを寄せていただきました。ここに皆さんに紹介したいと思います。

ハチドリのお話は、私にツバメのことを思い出させます。私がはじめて来た頃の美しい日本は、ツバメを大事にする人々の国でした。家々の軒先はもちろん、家の中にまでツバメがたくさんの巣をつくって、まるで家族や友だちのように一緒に暮らしていました。害虫をたくさん食べてくれるツバメは、豊作をもたらす縁起のいい鳥で、人々はツバメが雨を運び、夏を運ぶものだと感じていたのです。

ところが今の日本人は、ツバメを嫌い、邪魔者あつかいにし、まるで天敵のように追い払おうとします。見た目に悪いとか、不潔だとかいって。かつての友人をこんなふうに冷たく扱う姿にぼくは、「新日本人」の心を見て、悲しいのです。

私は、ここ長野県黒姫高原で仲間たちと「アファンの森」という森をつくっています。そこにまた、鳥や虫や動物たちがたくさん集う日を夢見て。でも私は思うんです。 大切な自然を私たちが守れるかどうかは、自分の住む家の軒先をツバメに貸すという、ちょっとしたやさしい心づかいにかかっているのではないか、と。

C.W.ニコル

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「経済」という名の鬼にとらわれて、人のいのちや健康さえも犠牲にしている

ニコルさんが敬愛する世界的な生物学者、デヴィッド・スズキ著『いのちの中にある地球』(NHK出版、2010年)

「環境問題とは私たちの暮らし方=文化の問題である」という思想は、文化人類学者の辻信一さんがカナダ先住民族や世界的な生物学者で環境運動家のデヴィッド・スズキさんから学んだ態度です。

そのデヴィッドさんが2009年、カナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学で行った最終講義を翻訳した『いのちの中にある地球』が2010年、NHK出版より刊行されました。カナダではテレビキャスターを長年つとめ、国民的人気を誇るデヴィッド・スズキ博士ですが、日本では、1992年リオ・サミットで「伝説のスピーチ」をしたセヴァン・スズキのお父さんと紹介したほうがわかる方もいるかもしれません。

カナダ環境庁でも仕事をされていたことのあるニコルさんにとって、デヴィッド・スズキ博士は敬愛するレジェンドの一人。デヴィッドさんの最終講義を日本で出版するにあたり、「まえがき」をぜひニコルさんに書いてほしいとお願いしたところ、すぐご快諾いただき、日本への愛情あふれる力強い文章をいただきました。その一部を紹介させていただきます。

 はじめてスズキ氏のドキュメンタリーを見たのは、日本での勉強を終え、カナダ環境省の仕事でカナダに戻った1970年代のこと。それ以来ずっと、私は、数多い彼の著作やドキュメンタリー映像の熱心なファンだ。(略)

 この本は、日本人にとって極めて重要な本だ。自然を崇め守る古来からの日本の伝統文化は、失われてしまったかに見える。変化に富んだ長い海岸線、多くの火山、豊かな雨、目をみはるような生物多様性、国土の60パーセント以上をおおう森林、教養ある国民、そして高度に進んだ技術。これらの恵みをもつ日本は、環境保全と持続可能な暮らしづくりの分野で、世界のリーダーであってもおかしくない。しかし、残念ながら、現実はそれとはほど遠い。

 スズキ氏が指摘するとおり、地球は有限なものであり、成長することはできない。そして、経済はこの地球の一部であり、生物圏なしには存在しえない。水、空気、食べもの、エネルギ―、木材などを得られる場所は地球のほかにないのだから。とすれば、経済の無限成長などというのが、妄想じみた絵空事でしかないことは明らかだ。(略)

 私たち日本人はあまりに長い間、自国だけでなく他国の自然資源まで浪費してきた。たくわえも底をつこうとしている。「経済」という名の鬼にとらわれて、人のいのちや健康さえも犠牲にしているではないか。あと何人の自殺者をだせばいいのか? 空気や水や土や、そして食べものを汚染して、いったいあとどれだけ自分たちの子や孫の健康をおびやかすつもりなのか?(略)

 クマを撮影するためにカナダ西海岸を旅行中に、私はスズキ氏に会ったことがある。ポートハーディからバンクーバーへの飛行機のなかでも、彼と話す機会があった。また、東京でのアースデイ公開シンポジウムで、スズキ氏とともに、本書の翻訳者でもある辻信一氏に会えたのも幸運だった。それはまるで古い友人たちの再会のようだった。

C.Wニコル

>>『いのちの中にある地球』ご注文はこちら

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アファンの森での、ニコルさんとのひと時

2016年4月、アバンティ渡邊智恵子さんと訪れた、アファンの森での贅沢な午後。

アースデイ東京の実行委員長を長年つとめてこられたニコルさんと、毎年4月にお会いするのを楽しみにしていた辻さん。

2016年春には日本でオーガニックコットンを広めるアバンティ渡邊智恵子さんに誘っていただき、黒姫のアファンの森にニコルさんを訪ねる機会に恵まれました。そのときの様子を、辻さんがフェイスブックでコメントされています。

雨が降り始めたら、ニコルさんが、挨拶でもするみたいに気取りなく、雨の歌を歌い出した。寒くなるとすぐに暖炉に火を起こしてくれる。その暖かさにくるまれて、渡邊智恵子さんと対談。アファンの森の贅沢な午後 。(辻信一)

>> 「渡邊智惠子の「22世紀に残すもの」」(全3回)はこちら

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キャンドルナイトにニコルさんをお呼びしたい!

学生メンバーが企画したキャンドルアート。2016年冬至
2016年キャンドルナイト冬至ポスター。(当日はゲスト変更で実施)

2001年5月、アメリカ発、オーストラリア経由でナマケモノ倶楽部に回ってきたのは、夏至の2時間、でんきを消そうという自主停電運動。そのあと、仲間たちと「100万人のキャンドルナイト」を立ち上げ(2003年夏至)、環境省のライトダウン運動とも連動して、誰でも始めることができる日本独自の環境ムーブメントへと広まっていきました。

100万人のキャンドルナイト実行委員会は2013年に発展的解散をしましたが、ナマケモノ倶楽部では、そのあとも夏至と冬至の年2回、「でんきを消してスローな夜を」を掲げて、トークや音楽、マルシェを行っていました。

「ニコルさんをいつかトークにお招きしたいね」

そんな話が現実になったのが、2016年冬至のキャンドルナイトin戸塚。「美しい日本(くに)って?」をテーマに、ニコルさんに森のお話をたくさん伺おうと、明治学院大学の学生さん、とつか宿駅前商店会、ナマケモノ倶楽部とも張り切って準備をすすめていました。

ところが、開催1週間を切った午後、マネージャーの森田さんから、ニコルさんが体調を崩され救急搬送されたと連絡をいただきました。幸い、大事には至らなかったものの、翌週の東京出張は取り消しとなり、その後、夏至・冬至とご都合があわないながらも、いつもナマケモノ倶楽部を気にかけてくださっていました。

そして、一年半越しになる2018年夏至、ついにニコルさんをお迎えしてのキャンドルナイトが実現することになったのです!(後編につづく)

エコ建築の善了寺本堂にてトークするニコルさんと辻さん(左)。2018年夏至
2019年10月18日

10/29(火)辻bar~國分功一郎さんに学ぶ「民主主義と地域」~

辻 信一


11/9~10開催の「しあわせの経済」国際フォーラム2019in横浜戸塚に向けて、今月よりスタートした新企画、その名も辻bar。

(フォーラムの公式サイトはこちらからhttp://economics-of-happiness-japan.org/


カフェゆっくり堂・店主の辻さんが聞き手を務め、毎回、豪華ゲストをお招きしてのトークライブを行います。カフェではイベント特性プレート(要予約)やオーガニックビール、ワインなどをお楽しみ頂けます。


第三回目となる今回は、東京工業大学教授の國分功一郎先生をお招きして、「民主主義と地域」について学んでいきます。


非常に貴重な機会となりますので、是非お越し頂ければと思います。

ご来場、心よりお待ちしております。


≪國分功一郎 こくぶん・こういちろう≫
哲学者、東京工業大学教授。専門は西洋哲学/哲学原論・各論。
著書に『暇と退屈の倫理学』(太田出版)、『中動態の世界―意志と責任の考古学』(医学書院)、『僕らの社会主義』(山崎亮との共著、ちくま新書)、『民主主義を直感するために』(晶文社)、『近代政治哲学―自然・主権・行政』(ちくま新書)、『来るべき民主主義ー小平市都道 328 号線と近代政治哲学の諸問題』 ( 幻冬舎新書 ) など多数。


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日時:2019年10月29日(火)、19:00~20:30(開場18:00)

会場:カフェゆっくり堂 https://www.yukkurido.com/(JR戸塚駅東口より徒歩7分)

ゲスト:國分功一郎さん(哲学者、東京工業大学教授)
聞き手:辻信一(カフェゆっくり堂店主、文化人類学者)

参加費:1,000円(学生500円)+ワンオーダー

※お食事をご希望の方は、イベント特性プレート(¥1000)をご用意いたしますので、事前にご連絡いただければ幸いです。

お申込み:イベントタイトル、お名前、人数、連絡先、ひとことを添えて、ナマケモノ倶楽部事務局 info@sloth.gr.jpまでお申し込みください。

共催:ナマケモノ倶楽部、カフェ・デラ・テラ。
協力:カフェゆっくり堂、明治学院大学国際学部付属研究所。

2019年10月03日

「しあわせの経済」国際フォーラム2019 in横浜戸塚~グローバルからローカルへ~

中村 隆市

\国内外のローカリゼーションの運動家たちが一堂に集結し、基調講演、分科会、音楽ライブ、マルシェを実施!/


どうしたら、世界はもっと幸せな場所になるでしょう?

私たちはこう考えています。数々の危機がつながっているように、それを解決する方法もまたつながっています。そして答えは今までとは根本的に異なる考え方の中にある、と。

まずは、自分たちが自然界の一部であり、自然に支えられてこそ生きられる存在であることを思い出すこと。そして、自分たちがいかに切実にコミュニティを必要とする存在であるか、ということに気づき直すこと。

今こそ、私たちの経済活動をグローバルからローカルへと大きく転換し、経済という仕組みそのものを、もう一度自分たちの手に取り戻す時です。

ローカリゼーションは、壊れかけた住民同士のつながりを、また人間と自然界とのつながりを修復する役割を果たすでしょう。こうしてよみがえるつながりは、私たちの幸せな人生のためばかりではなく、私たちの生存のために不可欠なのです。-ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ&辻信一


≪3分でわかるローカリゼーション≫

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≪日時≫
2019年11月9日(土)10:30~18:00
2019年11月10日(日)10:00~17:30
両日とも開場は開演30分前


≪会場≫
明治学院大学・横浜キャンパス
JR、市営地下鉄ブルーライン戸塚駅東口よりパス10分「明治学院大学南門」下車
https://www.meijigakuin.ac.jp/access/


≪参加費≫
2日間通し券 ¥2,000、学生¥1,000
※前売り券は下記Motion Galleryからお申込みいただけます。
https://motion-gallery.net/projects/EoH2019

≪公式サイト≫
プログラムは下記HPにて順次更新中!
http://economics-of-happiness-japan.org/


≪お問い合わせ≫
「しあわせの経済」フォーラム2019 in 戸塚 実行委員会 事務局(ナマケモノ倶楽部)
〒244-0002神奈川県横浜市戸塚区矢部町125善了寺気付
Tel/Fax:045-443-5954
E-mail:info@sloth.gr.jp


主催: ローカル・フューチャーズ、「しあわせの経済」フォーラム2019 in 戸塚 実行委員会
共催: 明治学院大学国際学部付属研究所
特別協賛:株式会社ウインドファーム学校法人 自由学園城南信用金庫一般社団法人 日本社会連帯機構日本労働者協同組合連合会(ワーカーズコープ)センター事業団パルシステム生活協同組合連合会生活協同組合パルシステム東京


実行委員会構成団体:(2019/8/26時点)
アズワンネットワーク鈴鹿コミュニティ/株式会社ウインドファーム /特定非営利活動法人えこびれっじネット日本GEN-Japan/オールジャパン平和と共生/特定非営利活動法人カフェ・デラ・テラ/特定非営利活動法人グリーンズ/国際環境NGO 350.org Japan/幸せ経済社会研究所/特定非営利活動法人ジュレー・ラダック/城南信用金庫/特定非営利活動法人セブン・ジェネレーションズ/善了寺/種まき大作戦 実行委員会/TPP違憲訴訟の会/東京アーバンパーマカルチャー/特定非営利活動法人トランジション・ジャパン/環境=文化NGOナマケモノ倶楽部/一般財団法人22世紀に残すもの/一般社団法人日本社会連帯機構/日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会/パルシステム生活協同組合連合会/生活協同組合パルシステム東京/自由学園生徒有志/みらい麦畑計画/武蔵野大学環境学部明石修ゼミ/明治学院大学国際学部辻信一ゼミ



2019年10月03日

10/18(金)四井真治 with 辻信一 いのちの仕組みから考える未来の暮らしと文化~日本のパーマカルチャーを考える~

辻 信一


\ パーマカルチャーデザイナー四井真治さんが、戸塚に!/


長年、同じエコロジーという活動分野にいながら、なぜか一緒に活動する機会がなかった二人が、ついに意気投合。

11月の「しあわせの経済」国際フォーラム2019でも登壇いただく四井さんに、私たちの暮らしのあり方とこれからについて、いのちの仕組みからたっぷり語っていただきます。
貴重な機会です。ぜひお集まりください。

ご来場、お待ちしています!

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日時:2019年10月18日(金)19時~20時半(開場18時)

会場:カフェゆっくり堂
  (JR戸塚駅東口より徒歩7分、善了寺境内)

ゲスト:四井真治さん(パーマカルチャーデザイナー、山梨県北杜市在住)
聞き手:辻 信一(環境=文化運動家、明治学院大学教授)

参加費:1000円+カフェでのワンオーダー

★★当日は四井さんの戸塚来訪を祝して、木古庭ノ農芸社さんによるイベント限定プレート1200円(要予約)を数量限定でおだしします。前日17日夜までにinfo@sloth.gr.jp まで、お名前・個数・ご連絡先を添えてお申し込みください。 ★★

写真はイメージです

お申込み:お名前、人数、ご連絡先、ひとことを添えて
  ナマケモノ倶楽部 info@sloth.gr.jp までお申し込みください。

共催:ナマケモノ倶楽部、NPO法人カフェ・デラ・テラ
協力:カフェゆっくり堂



2019年10月03日

10/19(土)シリーズ「しあわせの経済」を、地域から

藤岡 亜美

パルシステム東京とナマケモノ倶楽部の共同企画!!

今年3回目となる「しあわせの経済」国際フォーラム2019 in 戸塚に向け、6月から4回にわたり、「ローカリゼーション」を彩るキーワードに学び、暮らし方、働き方を考えるセミナーを企画します。
「しあわせの経済」ってなあに?という問いに、各地で答えを生きている人たちの話から、自分なりの答えをみつけ、実践していこう!というクリエイティブな4回。
11月のフォーラムに向け、ひとつのうねりをつくっていきましょう!

(さらに…)

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